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【デイリー No.1,886】米国の雇用統計(5月) ~雇用者数は堅調に増加~

2014年6月9日

<ポイント>
・5月の非農業部門雇用者数は前月比+21.7万人と、4カ月連続で20万人超となりました。
・失業率は6.3%と市場予想を下回ったほか、平均賃金の増加など労働市場の質の改善も続きました。
・雇用者数の堅調な増加により、FRBによる2014年の失業率の見通しは引き下げられそうです。今後QEは着実に縮小・終了され、利上げについては物価の動向などを見ながら2015年半ば以降となりそうです。

1.雇用者増は4カ月連続20万人超、失業率は横ばい

 5月の非農業部門雇用者数は前月比+21.7万人と、市場予想(ブルームバーグ集計)の同+21.5万人を小幅に上回りました。雇用者数の増加は4カ月連続での20万人超となりました。雇用者数は寒波の影響を脱し、着実に増加しています。
 また、5月の失業率は6.3%と前月と同水準となり、市場予想(同)の6.4%を下回りました。

2.賃金など労働市場の質も改善

 雇用者数増加の内訳を見ると、民間部門は前月比+21.6万人、政府部門は同+0.1万人となりました。
 民間部門を業種別に見ると、建設業や小売業では増加ペースがやや鈍化したものの、製造業や教育・医療、レジャー・娯楽業では一段と雇用者が増加しました。また、労働時間は3カ月連続で同水準となり、高止まりしています。一方、イエレンFRB議長が労働市場のスラック(たるみ)として指摘している平均賃金については、3カ月ぶりの伸びとなりました。同様に、高水準が指摘される長期失業者の割合は5月に34.6%と35%を割り込んだほか、パート労働者の割合も18.7%と着実に低下しています。

3.今後の見通し

 非農業部門雇用者数の増加幅は4カ月連続で20万人超となり、失業率の安定的な低下に必要とされる前月比+15万人~20万人を超える水準で堅調に増加しています。また、5月の失業率は6.3%と、FRBが2014年3月に公表した2014年の見通し(6.1%~6.3%)のレンジに入ってきています。足元の雇用者数の増加を受けて、今月17日から18日に行われるFOMCで新たに公表されるFRBの経済見通しでは、失業率の予想は引き下げられる可能性があります。労働市場の質の改善も緩やかながら進んでいます。FRBは、今月のFOMCでもQEの縮小を継続し、今秋にも終了させる見通しに変更はありません。ただし、QE終了後のゼロ金利政策解除のタイミングについては、労働市場の質の改善が今後も続くことが必要となります。平均賃金は3カ月ぶりの伸びとなったものの、基調としては緩慢な伸びにとどまっています。長期失業者やパート労働者の割合も低下してきていますが、リーマン・ショック以前と比較すると未だ高水準にあります。こうしたことから当面は低金利政策が維持され、その後の利上げについてはこれらの指標に加え物価の動向なども見ながら、2015年後半以降に行われると見込まれます。

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