【デイリー No.1,858】米国の主要企業の業績動向と今後の見通し ~予想を大幅に上回る決算~
2014年5月2日
<ポイント>
●主要企業の1-3月期の増益率は前年同期比+4.1%と当初予想の同+1.1%から大きく上振れる見込みです。
●新興国の景気減速や米国の寒波などを背景に、当初の予想は過度に慎重になっていたと見られます。
●世界的な景気の持ち直しを背景に、増益率は2014年後半に再び二桁となる見込みです。リスク要因としてはFRBの金融緩和策縮小による金利上昇や新興国の景気減速などがあり、引き続き注意が必要です。
1.慎重すぎた予想を大きく上回る決算
1日付のトムソン・ロイターのレポートによると、主要500社(決算発表済み320社実績とそれ以外の予想を含む)の1-3月期の増益率は前年同期比+4.1%と、前期の同+9.9%から低下するものの、決算発表本格化直前(4月4日時点)の予想同+1.1%から大きく上振れる見込みです。新興国の景気減速や米国の寒波、地政学リスクの高まりなどを背景に予想が過度に慎重になっていたと見られ、決算発表が進むにつれ、底堅い業績動向が鮮明になっています。同レポート集計後に発表された決算も概ね堅調で、全体として+5%に迫る勢いです。事前予想を上回る企業数は発表済み企業全体の69%と、2013年平均の66%を上回っています。
2.売上は伸びは鈍い
業種別にみると、国内事業が中心の「電気通信サービス」、「公益事業」などが+20%前後の増益率となる一方、新興国の景気減速により資源価格の下落の影響を受ける「エネルギー」、「素材」が減益または小幅プラスの見込みです。ローンや手数料収入が伸び悩む「金融」も減益が見込まれています。
トムソン・ロイターの4月25日付の集計によると、主要500社の1-3月期の売上は、前年同期比+2.7%とやや勢いに欠けます。引き続き、コスト削減が増益のけん引役として重要な状況と言えそうです。
3.今後の見通し
今後の増益率の推移をみると、今年後半には再び二桁増に回復し、2014年通年では前年比+8.9%の底堅い増益が見込まれています。世界的に景気が持ち直す見通しがその主な前提条件です。企業業績動向を占ううえで、米国をはじめ主要国、新興国の景気動向が引き続き重要です。リスク要因としては、FRBの金融緩和策縮小により市場金利が上昇することで企業の資金調達コストや投資マインドに影響することや、新興国の景気減速の事業への影響などがあり、これらには引き続き注意が必要です。