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【デイリー No.1,851】最近の指標から見る米国経済(2014年4月)

2014年4月24日

<ポイント>
・3月の非農業部門雇用者数は前月比+19.2万人と、2月(改定値)に続いて同+19万人超を回復しました。
・3月のISM景況感指数は、製造業、非製造業ともに上昇し、先行きの企業活動の回復も期待されています。
・3月の小売売上高は前月比+1.1%、寒波の影響を強く受けた自動車・同部品も同+3.1%と好調でした。
⇒米国の3月の経済指標は寒波の影響が一巡し、景気が復調したことが示されました。今月末のFOMCではQEの縮小が継続され、2014年内のQE政策の終了と2015年半ば頃の利上げ開始が見込まれます。

1.雇用者数は堅調に増加、企業景況感も回復

①雇用統計
 3月の非農業部門雇用者数は前月比+19.2万人でした。また、2月は同+19.7万人へ、1月は同+14.4万人へと過去2か月分で合計3.7万人上方修正されました。
 雇用者数増加の内訳を見ると、民間部門が同+19.2万人、政府部門が同+0.0万人と、ほぼすべての増加が民間部門によるものでした。民間部門を業種別に見ると、小売業で3カ月ぶりに雇用者数が増加に転じ、昨年12月以降の寒波の影響が一巡したことがうかがわれます。また、教育・医療や娯楽等、サービス業の中核部門では前月に続き雇用者数が増加しており、底堅さが維持されています。
 また、3月の失業率は6.7%と、前月と同水準でした。ただし、労働参加率は63.2%と前月の63.0%から上昇し、昨年9月以来の水準となりました。これは職探しを諦めていた人が再開したことを示すものであり、就業者の増加と合わせて考えると労働市場の改善を示していると考えられます。

②ISM景況感指数
 3月の製造業景況感指数は前月比+0.5ポイントの53.7ポイントと2カ月連続で上昇しました。内訳を見ると、足元の活動を示す生産指数が同+7.7ポイントと大幅に改善し、中立水準の50ポイントを回復しました。また、入荷遅延指数は2月に上昇した分とほぼ同程度低下し、寒波の影響による需給のひっ迫は緩和したと見られます。生産活動の先行きを示す新規受注指数は前月に続き小幅に上昇しており、今後の明るい材料です。
 2月の非製造業景況感指数は前月比+1.5ポイントの53.1ポイントと2カ月ぶりに上昇しました。前月に大幅に低下(同▲8.9ポイント)した雇用指数が同+6.1ポイントとなったことが上昇に寄与しました。先行きの企業活動を示す新規受注指数は3カ月連続の上昇となり、非製造業の企業活動も寒波の影響を乗り越えて今後持ち直すと思われます。

2.小売売上高は好調、物価は低水準を維持

①小売売上高
 3月の小売売上高は前月比+1.1%となりました。12月、1月が寒波の影響によってマイナスとなったところからの2カ月連続のプラスです。また、変動の大きい自動車・同部品を除いた小売売上高は同+0.7%、さらに建材等を除くGDPの推計に用いられるベースでは同+0.8%と、いずれも高い伸びとなりました。
 3月の内訳を見ると、寒波の影響を強く受けた自動車・同部品が前月比+3.1%と、2カ月連続で増加しました。インターネット販売など無店舗小売は同+1.7%、飲食サービスは同+1.1%も2カ月連続で増加し、堅調な結果となりました。小売売上高は寒波の影響が一巡し、足元では堅調さを取り戻しています。

②消費者物価
 3月の消費者物価指数は前年同月比+1.5%と、2月の同+1.1%から上昇しました。また変動の大きい食品・エネルギーを除いたコア指数は同+1.7%と、直近1年は同+1.6~1.8%での緩やかな上昇となっています。
 居住費が緩やかに上昇していることなどを主因として消費者物価指数、コア指数ともに上昇率はプラスを維持しているものの、FRBが長期目標とする2.0%を下回る、低い水準が続いています。FRBは経済成長へのリスクとして、こうした緩慢な物価上昇を指摘しています。

3.今後の市場見通し

 米国の3月の経済指標を見ると、年末年始の寒波の影響が一巡したと見られ、雇用や景況感、消費など全般にわたって景気の回復基調が示されました。3月の非農業部門雇用者数は、2月(改定値)に続いて失業率の安定的な低下に必要とされる前月比+15万人~+20万人の増加幅を回復しました。また、雇用全体に先行すると見られる人材派遣業の雇用者数は、3月は一段と増加幅が拡大しており、今後も雇用の回復が続くことが期待されます。こうしたことから、今月末に予定されるFOMCでFRBはQEの縮小を継続し、年内に終了すると考えられます。ただし、長期失業者数が未だ高水準であることや賃金上昇のペースが緩慢であることは、イエレンFRB議長が2月の議会証言で労働市場のスラック(たるみ)として指摘しています。また、物価についても1%台の低い水準が続いていることなどから、当面は低金利政策が維持されると見られ、QE縮小後の利上げタイミングについては、2015年半ば頃の開始が見込まれます。

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