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【デイリー No.1,844】米国の債券市場の最近の動向 ~堅調な景気回復が利回り上昇要因~

2014年4月11日

<ポイント>
・米国債は堅調な経済指標や利上げ観測の早まりの一方、ウクライナ情勢などを受けレンジ圏で推移しました。
・社債スプレッド(国債との利回り差)は、安定的な金融資本市場の動向から縮小傾向となりました。
・景気の回復基調が続くことなどから、米国の債券利回りには緩やかな上昇圧力がかかると見込まれます。社債スプレッドは、企業の底堅い業績や慎重な財務運営などから、今後も安定的に推移すると思われます。

1.国債利回りはウクライナ情勢などで変動性高まる

 3月中旬から4月上旬にかけて発表された米国の経済指標は、寒波の影響が一巡し、堅調な回復を示しました。FOMC後の会見でイエレンFRB議長は、QE3が終了した後のゼロ金利政策解除の時期について、6カ月程度と言及したことから、市場では利上げ観測が早まりました。これらのことから、米国の10年国債利回りは上昇しました。一方で、ロシアによるクリミア編入などにより地政学的リスクが高まったことは、米国の10年国債利回りの低下要因となりました。足元でも同国東部で再び緊張が高まっており、米国の10年国債利回りの低下要因となっています。こうしたことから、米国の10年国債利回りは直近1カ月程度では2.65%から2.80%のレンジ圏での推移となりました。
 また短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利(LIBOR)で見ると、当面は日米の低金利政策が続くと見込まれることから低位で安定的に推移し、日米短期金利差はほぼ横ばいでした。

2.社債スプレッドは引き続き縮小傾向

 社債スプレッド(国債との利回り差)は、安定的な金融資本市場の動向を好感して、縮小傾向が続きました。

3.今後の見通し

 米国の雇用者数は、寒波の影響が一巡し、失業率の安定的な低下に必要とされる前月比+15万人~20万人のペースでの増勢が続いています。そのほかの経済指標もおおむね堅調さを取り戻していることから、FRBは今後もQE3の縮小を続けると見込まれます。一方、市場の注目はQE縮小終了後の利上げの時期へと移っています。利上げ時期の思惑はイエレン議長の会見やFOMCの議事録の内容により揺れましたが、景気動向次第とも考えられ、当面は低金利政策が続くと見込まれます。
 債券市場では、景気回復が続くことから債券利回りに緩やかな上昇圧力がかかると思われます。社債スプレッドは、主要米国企業の底堅い業績と慎重な財務運営、社債への旺盛な需要などから、今後も安定的に推移すると思われます。

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