【デイリー No.1,838】米国の雇用統計(3月) ~寒波の影響は一巡、雇用の回復続く~
2014年4月7日
<ポイント>
・3月の非農業部門雇用者数は前月比+19.2万人と回復基調が続き、過去2カ月分も上方修正されました。
・失業率は6.7%と前月と同水準だったものの、就業者増加を伴っており、労働市場の改善がうかがわれます。
・今後は労働市場のスラック改善などが必要と見られ、QE縮小に続く利上げのタイミングが注目されます。
1.雇用者は増勢を維持、過去2カ月は上方修正
3月の非農業部門雇用者数は前月比+19.2万人と、事前の市場予想(ブルームバーグ集計)の同+20.0万人を若干下回りました。一方、2月は同+17.5万人から同+19.7万人へ、1月は同+12.9万人から同+14.4万人へ、2カ月で合計3.7万人上方修正されました。また、3月の失業率は6.7%と、前月と同水準となりました。ただし、労働参加率は63.2%と前月の63.0%から上昇し、昨年9月以来の水準となりました。これは職探しを諦めていた人が再開したことを示すものであり、就業者の増加と合わせて考えると労働市場の改善を表していると言えます。
2.寒波の影響は一巡、サービス業を中心に底堅く増加
雇用者数増加の内訳を見ると、民間部門は前月比+19.2万人と、2月の同+18.8万人(改定値)から増加幅が拡大した一方、政府部門は同+0.0万人と、ほぼ全ての増加が民間部門によるものでした。
民間部門を業種別に見ると、小売業では3カ月ぶりに雇用者数が増加に転じ、昨年12月以降の寒波の影響が一巡したことがうかがわれます。また、教育・医療や娯楽等、サービス業の中核部門では前月に続き雇用者数が増加しており、底堅さが維持されています。このほか、労働時間を見ると、建設業や製造業、小売業など、天候の影響を受けやすい業種を中心に前月から増加してきており、この点も寒波の影響が一巡した表れと見られます。
3.今後の見通し
非農業部門雇用者数は、昨年12月に前月比+8.4万人まで増加幅が急激に縮小しましたが、1月、2月は上方修正され、その増勢が回復しました。そして、2月、3月とも19万人台の雇用者数の増加幅となり、失業率の安定的な低下に必要とされる前月比+15万人~20万人の増加となりました。また、雇用全体に先行すると見られる人材派遣業の雇用者数は、3月は一段と増加幅が拡大しており、今後も雇用の回復が続くことが期待されます。こうしたことから、今月末に予定されるFOMCでは、FRBはQEの縮小を継続すると見込まれます。
ただし、イエレンFRB議長が2月の議会証言で言及した労働市場のスラック(たるみ)については、長期失業者については改善がみられるものの未だ高水準であることや、賃金の上昇は緩慢となっています。このため、来年半ば頃の利上げが予測されるものの、当面は低金利政策が続くと見込まれます。今週は、フォワード・ガイダンスを変更した先月18日~19日のFOMCの議事録が発表される予定であり、イエレンFRB議長が言及したQE縮小後の利上げタイミングについてどのように議論されていたのかなどが注目されます。