【デイリー No.1,828】米国の金融政策(3月) ~フォワード・ガイダンスを変更~
2014年3月20日
<ポイント>
・FRBは3月18日~19日のFOMCで、QE3の縮小やゼロ金利政策の継続を決定しました。
・フォワード・ガイダンスは、ゼロ金利政策解除の目安の失業率が削除され、定性的内容に変更されました。
・景気の回復基調から、FRBは今秋にQE3を終了し、その後6カ月ほどでゼロ金利政策を解除するとしています。
1.QE3の縮小継続、フォワード・ガイダンスを変更
FRBは3月18日~19日のFOMCにおいて、QE3縮小の継続を決定しました。資産購入額は月額650億米ドルから同550億米ドルへ減額となります。長期国債が350億米ドルから300億米ドルに、住宅ローン担保証券(MBS)が300億米ドルから250億米ドルに各々減額されます。
またゼロ金利政策は継続されましたが、その解除の目安である「フォワード・ガイダンス」については、足元までの失業率の低下などを踏まえて変更されました。
2.議長はQE3終了6カ月後のゼロ金利解除に言及
今回変更されたフォワード・ガイダンスは、雇用、インフレ、金融市場などを幅広く検討したうえで、「インフレ見通しが2%を下回り、インフレ期待が抑制されている場合は、ゼロ金利政策をQE3終了後もかなりの期間継続する」といった内容です。従来のガイダンスにあったゼロ金利解除の目安である6.5%の失業率水準は削除されました。失業率は2月で6.7%と急速に低下し、目安として形骸化していたことが背景です。
またイエレンFRB議長は会見で、2月の議会証言同様、今秋のQE3終了の見込みに言及し、上記ガイダンスのゼロ金利政策を継続する「かなりの期間」については6カ月ほどとしました。このため市場では、FRBはゼロ金利政策解除に積極的との観測が強まり、3月19日には米国の10年国債利回りが前日比+0.10%、NYダウは同▲0.70%、円は対米ドルで1円近く下落と、いずれも急な動きとなりました。
3.今後の市場見通し
今回会合に際し、FRBは四半期毎の経済見通しを発表しました。見通しでは、物価が上方修正もしくは横ばい、失業率は下方修正されるなど、FRBが景気回復に対しより強気となったことがうかがわれる内容でした。この点も過度にハト派寄りな姿勢の修正と市場に受け止められたと見られます。FRBは今後もQE3を縮小し、今秋には終了するとしています。またゼロ金利政策については、FRB議長の発言や今回のFOMC委員の金利予測から、2015年の春頃の解除が示唆されています。