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【デイリー No.1,824】米国の債券市場の最近の動向 ~レンジ内ながら変動性高まる~

2014年3月14日

<ポイント>
●米国債は2月以降、レンジ内での推移となりましたが、ウクライナ情勢などを受け変動性が高まりました。
●社債スプレッド(国債との利回り差)は2月以降、新興国通貨の下落の一服などから、縮小傾向となりました。
●景気の回復基調が続くことなどから、米国の債券利回りには緩やかな上昇圧力がかかると見込まれます。社債スプレッドは、企業の底堅い業績や慎重な財務運営などから、今後も安定的に推移すると思われます。

1.国債利回りはウクライナ情勢などで変動性高まる

 米国の10年国債利回りは、2月上旬にFRB議長が議会証言で量的金融緩和策(QE3)の縮小を継続する姿勢を示したことなどから上昇しました。その後2月後半には、緊迫したウクライナ情勢が続くなかロシアのプーチン大統領が軍事演習を指示したことなどから、米国債利回りは低下しました。
 3月上旬には、プーチン大統領が現時点ではウクライナにおける軍事行動は必要ないとしたことや、米国の雇用者数の増勢回復から、米国債利回りは上昇しました。しかしその後は、ロシアがウクライナへの関与を強めていることなどから、米国債利回りは低下しました。米国の10年国債利回りは2月以降、2%台後半を中心としたレンジでの推移が続きました。
 また短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利(LIBOR)で見ると、日米の低金利政策が続くと見込まれることから低位で安定的に推移し、日米短期金利差はほぼ横ばいとなりました。

2.社債スプレッドは2月以降、縮小傾向

 社債スプレッド(国債との利回り差)は、1月後半にリスク回避の動きから拡大しましたが、2月以降は新興国通貨の下落の一服などから縮小傾向となりました。

3.今後の見通し

 2月の雇用者数は寒波の影響の緩和から、失業率の安定的な低下に必要とされる前月比+15万人~20万人のペースを回復しました。今後寒波の影響が更に和らぐに連れ、雇用や景気の改善傾向は強まると思われ、FRBはQE3の縮小を続けると見込まれます。ただしFRB議長は、雇用の回復はまだ完全ではないとも指摘しており、緩和的な金融政策が適切としたことから、ゼロ金利政策は当面続けると思われます。LIBORなどの短期金利は、今後も低水準が見込まれます。
 債券市場では、景気回復が続くことから債券利回りに緩やかな上昇圧力がかかると思われます。社債スプレッドは、主要米国企業の底堅い業績と慎重な財務運営、社債への旺盛な需要などから、今後も安定的に推移すると思われます。

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