【デイリー No.1,816】米国のISM景況感指数(2月) ~先行きを示す新規受注指数が上昇~
2014年3月6日
<ポイント>
・ISM製造業景況感指数は前月の大幅な低下から上昇に転じた一方、非製造業指数は雇用指数の大幅低下 などにより低下しました。
・寒波の影響は残りましたが、企業活動の先行きを示す新規受注指数は製造業、非製造業ともに上昇しました。
・今後寒波の影響が和らげば企業活動や消費動向は持ち直し、景気は回復基調を取り戻すと思われます。
1.製造業指数は上昇に転じる
2月のISM製造業景況感指数は53.2ポイントと、1月の51.3ポイントから上昇しました。寒波の影響は残るものの更なる悪化には歯止めがかかった格好です。また2月の非製造業景況感指数は51.6ポイントと、1月の54.0ポイントから低下しました。雇用指数の大幅な低下などが影響しました。
2.製造業、非製造業ともに新規受注指数が上昇
製造業指数の内訳を見ると、足元の活動を示す生産指数は48.2ポイントと1月から大きく低下し、中立水準の50ポイントを下回りました。入荷遅延指数も上昇幅が1月から拡大しており、寒波の影響が強まったと見られます。ただし、生産活動の先行きを示す新規受注指数が、1月の大幅な低下から上昇に転じており、生産活動の今後の持ち直しを示唆しています。
また、非製造業の内訳については、雇用指数が47.5ポイントと、1月の56.4ポイントから大きく低下しました。ただし、先行きの企業活動を示す新規受注指数は、2カ月連続で小幅に上昇しており、今後の企業活動の更なる悪化には歯止めがかかりそうです。
3.今後の見通し
米国では大規模な寒波が企業活動や消費動向に大きな影響を与える状況が続いてきました。ただしISMの公表資料によれば、輸送業では寒波の影響が緩和し業況改善の動きも見られます。今後寒波の影響が薄らいで行けば、企業活動全般の改善や消費の反動増も見込まれ、景気は回復基調を取り戻すと思われます。
米国の株式市場は、米国をはじめ世界的に景気が持ち直すと見込まれることや企業業績の改善期待などから、中期的には底堅い推移が見込まれます。債券市場では、景気回復に伴い先行きで利回りに上昇圧力がかかると見られます。為替市場は、日米の金融政策の方向性の違いなどから、中期的には円安・米ドル高観測が残ると思われます。ただしウクライナ情勢に関しては、市場の動揺は足元一服しているものの、今後の動向によっては株式、債券、為替市場全般に変動性が高まる可能性もあり注意が必要です。