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【デイリー No.1,798】米国の債券市場の最近の動向 ~リスク回避の動きから国債利回りは低下~

2014年2月13日

<ポイント>
●米国債は1月、新興国市場の動揺によるリスク回避の動きや雇用者数の増勢鈍化から、利回りが低下しました。
●社債は1月後半、社債スプレッド(国債との利回り差)が一時的に拡大したものの、総じて安定的に推移しました。
●米国の債券利回りには、景気の回復基調が続くことなどから、緩やかな上昇圧力がかかると見込まれます。社債スプレッドは、企業の底堅い業績や慎重な財務運営などから、今後も安定的に推移すると思われます。

1.リスク回避の動きなどから国債利回りは低下

 米国の10年国債利回りは昨年12月末に3%を超えた後、1月上旬に発表された雇用者数の増勢鈍化をきっかけに低下に転じました。1月下旬には、アルゼンチンペソが急落しリスク回避の動きが強まったことから、利回りは更に低下しました。
 1月28日~29日のFOMCでは、FRBはQE3の縮小継続を決定し、資産購入の月額を750億米ドルから650億米ドルに減額しました。また、政策金利は、インフレ率が2%を下回る限り、失業率が6.5%を下回った後も据え置くのが適切とする姿勢を維持しました。QE3の縮小継続を予想する市場参加者が大勢であったことから、FOMC後も米国債利回りは低下しました。
 2月に入ると、新興国市場の動揺が一旦和らいだことなどから、 米国債利回りは上昇に転じています。

2.社債スプレッドは総じて安定的に推移

 社債スプレッド(国債との利回り差)は、昨年10月頃より企業業績の回復などにより縮小傾向が続いていました。1月後半には、リスク回避の動きから社債スプレッドは拡大したものの一時的な動きにとどまり、総じて安定的に推移しました。
 短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利(LIBOR)で見ると、日米の低金利政策が続くと見込まれることから低位で安定的に推移し、日米短期金利差はほぼ横ばいとなりました。

3.今後の見通し

 イエレンFRB議長は2月11日の議会証言で、雇用や物価の改善が今後の経済指標で裏付けられれば、慎重にQE3を縮小する見通しを示しました。ただし同議長は、雇用の回復はまだ完全ではないとしたうえ、物価上昇が緩慢なことへの警戒を改めて示しており、ゼロ金利政策を当面続けると思われます。LIBORなどの短期金利は、今後も低水準が見込まれます。
 債券市場では、景気回復が続くことから債券利回りに緩やかな上昇圧力がかかると思われます。社債スプレッドは、主要米国企業の底堅い業績と慎重な財務運営、社債への旺盛な需要などから、今後も安定的に推移すると思われます。

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