【デイリー No.1,793】米国の主要企業の業績動向と今後の見通し ~決算は好調ながら見通しは下方修正~
2014年2月5日
<ポイント>
●主要企業の10-12月期の増益率は前年同期比+9.3%と決算発表が進むにつれ上振れし好調な経過です。
●好調な決算の一方で、見通しに慎重な企業が多く、2014年の利益予想は下方修正の傾向にあります。
●世界的な景気の持ち直しを背景に、増益率は2014年後半に再び二桁となる見込みです。リスク要因としてFRBの金融緩和策縮小による金利上昇や新興国不安などの事業への影響に引き続き注意が必要です。
1.決算好調、増益率は2桁に迫る
4日付のトムソン・ロイターのレポートによると、主要500社(発表済み261社実績とそれ以外の予想を含む)の10-12月期の増益率は前年同期比+9.3%と前期の同+6.0%から上昇する見込みです。決算発表が本格化する直前(1月3日時点)の予想(同+7.6%)を大幅に上回る好調な経過です。事前予想を上回る企業は、利益、売上それぞれで発表済み企業の約7割となっています。
10-12月期を業種別にみると「金融」、「電気通信サービス」、「資本財・サービス」、「素材」で二桁の増益率が見込まれており全体をけん引しています。
2.売上の予想対比上振れが継続
1月31日付でブルームバーグが集計した10-12月期の売上の伸びの予想では、前年同期比+2.53%と月初の同+1.75%から上振れしています。売上が事前予想を上回る傾向は、前回このレポートで示した状況から概ね変化はありません。引き続き、世界的な景気の回復に沿って売上の上振れが利益を加速させる形となるかどうか、今後の動きが注目されます。
ただし、2014年の見通しには慎重な企業が多いようです。予想以上の決算を発表した大手化学品メーカーのデュポンは、2014年の売上見通しが市場予想を下回りました。世界的にクレジットカード決済サービスを提供するVISAは、好調な業績を示す一方当面の売上予想を据え置きました。「米国のカード利用が伸び悩んでいる」などとしています。大手通信サービスAT&Tは、米国内の競争激化などから売上の伸びの予想は2~3%程度と低調です。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
3.今後の見通し
こうした慎重な見方もあり、2014年の利益予想は足元で下方修正傾向です。特に1-3月期の増益率は前年同期比+4.1%と、今年年初の同+6.5%から大きく下振れしています。米国の寒波の影響や新興国経済への懸念も背景にあるとみられます。ただし、年後半に向けた推移は、前回のこのレポートから大きな変化はうかがわれません。今年後半には二桁増に回復する見通しです。世界的に景気が持ち直す見通しがその主な要因です。リスク要因として、FRBの金融緩和策縮小により市場金利が上昇することで企業の資金調達コストや投資マインドに影響することや、いくつかの新興国で混迷を深める政情不安が事業に影響を与える場合などに引き続き注意が必要です。