【デイリー No.1,791】米国のISM製造業景況感指数(2014年1月) ~寒波の影響により大きく低下~
2014年2月4日
<ポイント>
・1月のISM製造業景況感指数は、主に寒波の影響により、12月から大きく低下しました。
・新規受注指数が低下した一方、納入時間指数は上昇し、寒波による遅配などをうかがわせる内容となりました。
・個人消費など最終需要は底堅く、寒波の影響が和らげば生産活動は持ち直すと思われます。
1.寒波が大きく影響
1月のISM製造業景況感指数は51.3ポイントと、昨年12月の56.5ポイントから大きく低下しました。寒波による影響が低下の主因と思われます。米国では昨年12月以降、大規模な寒波による気温の大幅な低下や吹雪などにより、輸送や消費などの経済活動が制約を受けています。
2.寒波の影響から遅配などが発生
製造業指数を構成する指数のうち、入荷遅延指数以外は全て12月から低下しました。特に、生産活動の先行きを示す新規受注指数は大幅な低下となりました(石油・石炭製品や家具などの業種で業況が悪化)。一方、入荷遅延指数は上昇しました。同指数は12月も上昇していましたが、1月はそれを上回る上昇幅となり、寒波の影響による物流の遅れが強まったことをうかがわせる結果となりました。ISMが公表した企業のコメントを見ても、トラック輸送による物流が悪天候で断絶し多くの遅配が発生したなど、寒波の影響が複数の業種で指摘されています。
3.今後の見通し
米国海洋大気庁によると、2月に入ってからも当面は南東部など一部を除く広い範囲で平年を下回る低温が続く見込みであり、生産活動は当面寒波の影響を受けそうです。ただし、1月は在庫指数が低下していることから今後の在庫調整圧力は軽微と見られます。また、12月の自動車・同部品を除いた小売売上高が市場予想を上回る伸びを示すなど、個人消費をはじめとした最終需要は今後も底堅いと見込まれ、寒波の影響が和らげば生産活動は持ち直すと思われます。中期的には企業の生産活動の持ち直しや底堅い個人消費から、景気の回復基調は続くと思われます。
1月のISM製造業景況感指数の弱い内容を受け、米国などでは株価が下落し、国債利回りは低下しました。しかし、米国をはじめ世界的に景気が持ち直すと見込まれることや企業業績の改善期待などから、米国の株式市場は中期的には底堅い推移が見込まれます。債券市場では、景気回復に伴い先行きでは利回りに緩やかな上昇圧力がかかると見られます。為替市場は、足元でリスク回避姿勢の強まりなどから円高傾向ですが、中期的には日米の金融政策の方向性の違いなどから円安・ドル高観測が強まると思われます。