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【デイリー No.1,771】米国の雇用統計(2013年12月) ~雇用者増の減速は一時的~

2014年1月14日

<ポイント>
●12月の非農業部門雇用者数は前月比+7.4万人と、11月の同+24.1万人(改定値)から大きく縮小しました。
●寒波の影響による運輸などの一時的な悪化が主因と見られ、雇用の改善基調に変化はないと見られます。
●景気の回復基調は続くと見られますが、緩慢な物価動向からQE3は慎重なペースで縮小されそうです。

1.雇用者数の増加幅は予想外に大きく縮小

 12月の非農業部門雇用者数は前月比+7.4万人と、11月の同+24.1万人(改定値)から増加幅が大きく縮小し、市場予想の同+19.7万人を下回りました。運輸業や建設業が寒波により前月比減少したことが大きく影響しました。
 12月の失業率は6.7%と、11月の7.0%から低下しました。ただし、寒波の影響などにより、失業者の一部が一時的に労働市場から退出したことが主因と見られます。

2.寒波により運輸や建設などの雇用者数は減少に転じる

 雇用者数の内訳を見ると、民間部門は前月比+8.7万人と、11月の同+22.6万人(改定値)から増加幅が大きく縮小しました。政府部門は減少に転じました。
 民間部門を業種別に見ると、運輸が前月比▲0.1万人と、11月の同+3.5万人から減少に転じました。建設も同▲1.6万人と、11月の同+1.9万人から減少に転じました。余暇・娯楽は増加幅が11月から縮小しました。これらの業種の雇用の悪化には寒波による天候要因が大きく影響したと見られます。また、12月は製造業や教育・医療など、寒波の影響を受けにくい業種も雇用者数の増加幅が縮小しました。

3.今後の見通し

 12月の雇用者数は寒波の影響を受けにくい業種でも鈍化が見られ、今後の雇用改善ペースにはやや注意が必要な結果となりました。ただし、雇用全体の先行指標とされる人材派遣業の増加幅が拡大しており、雇用の改善基調は今後も続くと思われます。雇用の改善を背景に個人消費や景気の回復基調は今後も続くと見込まれます。一方、雇用は回復傾向にあるものの、FRBは物価上昇ペースの鈍化への警戒を強めています。昨年12月にFRBは、物価上昇率が2%を下回る場合は、失業率が6.5%を下回った後も政策金利を現行水準で据え置くのが適切としました。12月は失業率が大きく低下しましたが、現行のゼロ金利政策は当面続くと思われます。QE3についても、FRBは経済指標の改善を確認しつつ、慎重なペースで縮小を続けると思われます。
 米国の株式市場は、米国をはじめ世界的に景気が持ち直すと見込まれることや企業業績の改善期待に加え、QE3の縮小が慎重に進められるとの安心感から、堅調に推移すると思われます。債券市場では、景気の回復が見込まれることなどから、利回りに緩やかな上昇圧力がかかると見られます。為替市場では、FRBと日銀の金融政策の方向性が異なることなどから、引き続き円安・ドル高観測が続くと思われます。

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