テメル・ブラジル大統領に辞任・弾劾の可能性が浮上 【デイリー】
2017年5月19日
【ポイント1】テメル大統領に不祥事隠ぺい疑惑
汚職隠ぺいのため、口止め料を支払う指示を行った疑い
■ルセフ前大統領の弾劾・罷免を受けて2016年に就任したテメル大統領に、不祥事隠ぺい疑惑が持ち上がりました。
■5月17日付の現地紙によれば、汚職隠ぺいのため、テメル氏がマネーロンダリング(資金洗浄)などの罪で現在は収監中のクーニャ元下院議長に口止め料を支払うように指示した場面を録音したとされるテープが最高裁判所に提出されました。
■クーニャ元下院議長は、現政権与党であるブラジル民主運動党(PMDB)の重鎮で、16年のルセフ前大統領の弾劾を主導しました。
【ポイント2】大統領は疑惑を全面否定

不明な点も多く、先行きは不透明
■テメル大統領側は声明文を発表し、疑惑を全面否定するとともに辞任はしないと断言しました。
■テメル氏がクーニャ氏に口止め料を支払う指示をしたことを示す録音テープが実際に存在するのかどうかは、現時点では明らかではありません。
現時点では、不明な点が多く、今後、事態が大きく変わる可能性があります。
【今後の展開】経済改革に支障をきたすリスクが浮上
■政治の先行き不透明感の強まりから、市場では金利が上昇(債券価格は下落)し、株価は急落しました。為替市場では、それまで1米ドル/3.10レアル前後で推移していたブラジルレアルが、不祥事の隠ぺい疑惑の報を受けて、同3.40レアル近傍まで9%近くの下落となりました。
■仮に録音テープの内容が真実であれば、前任者のルセフ氏に続きテメル氏も弾劾される可能性が高まります。テメル政権が取り組んでいる財政再建や、議会で審議が進められている年金改革などが、とん挫する恐れが強まるため、当面は政局を注視する必要がありそうです。