ブラジルの金融政策(2016年1月) 政策金利据え置き、海外情勢などを見極める姿勢【デイリー】
2016年1月21日
【ポイント1】6対2で据え置きを決定
2名は0.5%の利上げを主張
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は20日、政策金利を14.25%に据え置くことを発表しました。8名の委員のうちの6名が政策金利の据え置きを主張した一方、2名が0.50%の利上げを主張しました。
■ブルームバーグがまとめた57名のエコノミストの事前予想は据え置きが15名、0.50%の利上げが28名、0.25%の利上げが14名でした。政策金利の据え置きは、大方の予想に反する決定となりました。

【ポイント2】景気と物価の両方を警戒
中国の景気減速などを見極めへ
■声明文には、海外情勢を中心に不透明感が強まっているとの文言が加えられ、中国の景気減速などへの懸念が強まったことがうかがわれます。
■一方、中国の景気減速や米国の利上げといった海外要因はブラジルレアルの下落につながっており、レアル安による物価の押し上げも懸念される状況です。
■市場参加者の多くや一部の中銀メンバーは、物価高是正のため利上げが必要との考えです。ただし、メンバーの間では景気への配慮を重視する考えが優勢で、政策金利の据え置きが決定されました。

【今後の展開】金利先高観の後退で、レアルへの下押し圧力が警戒される展開
■19日の国際通貨基金(IMF)の経済見通し改定では、ブラジルの成長率予想が大幅に下方修正されました。16年は前年比▲3.5%と、15年の同▲3.8%から大幅なマイナスが続く見込みです。今回の中銀の利上げ見送りには、景気下押しを懸念する政府の意向が影響したとの見方があります。
■景気見通しの悪化から、中銀が物価抑制を最優先とする姿勢を緩め利上げに消極的になったとの見方も出ており、金利先高観は後退すると思われます。
■物価高と景気後退の両方への配慮が必要ななか、中銀の金融政策には手詰まり感が強く、レアルへの下押し圧力が警戒される展開が続きそうです。