ブラジルの金融政策(2015年10月) 政策金利を高水準に維持し、物価の落ち着きを待つ姿勢【デイリー】
2015年10月22日
【ポイント1】2会合連続で金利据え置き
市場予想通りの決定
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は21日、市場予想通り、前回9月の会合に続き政策金利を14.25%に据え置くことを発表しました。
■声明文では、前回と同様に「物価を中銀の目標に近づけるため、現行の金利水準を十分に長い期間維持することが必要」と明言されました。

【ポイント2】当面現状維持の見込み
過去の利上げ効果を見極め
■中銀は、昨年10月から今年7月の会合まで連続で合計3.25%、2013年4月からでは合計7.00%利上げしました。中銀は、当面政策金利を据え置き、これまでの利上げによる物価抑制効果を見極める姿勢と見られます。
■足元の消費者物価は、公共料金の大幅な引き上げや食品の値上がりなどの影響から、前年同月比+10%近い伸びが続いています。中銀はレアル安による物価の押し上げも警戒しており、財政再建の取り組みが進まずレアル安圧力が強まる場合には、さらなる利上げも辞さない姿勢です。

【今後の展開】物価の落ち着きを通じた消費者心理の改善、景気持ち直しに期待
■レアルは、9月下旬以降反転上昇傾向にあります。政府の財政再建策の見直し、中銀のレアル安定化策の強化、米国の利上げ見送りなどが背景です。ルセフ大統領は10月はじめに内閣改造を実施して連立与党内の結束を固め、財政緊縮の取り組みを続けています。
■政府と中銀が政策の足並みを揃えて課題に取り組み、物価高の是正が図られていることは、レアルにとって好材料です。物価が落ち着く場合には、消費者心理の改善などを通じて景気が持ち直すと期待されます。当面は、物価指標や市場の物価予想に注目が集まりそうです。