ホームマーケット日々のマーケットレポートブラジルレアルの現状と見通し  中銀がレアル防衛姿勢を強める【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

ブラジルレアルの現状と見通し  中銀がレアル防衛姿勢を強める【デイリー】

2015年10月8日

【ポイント1】レアルは9月下旬以降持ち直し

中銀は通貨安定化策を再開
■ブラジルレアルは、中国の景気減速と米国の利上げ観測といった海外要因や、国内景気低迷と財政不安などが影響し、9月に入り下落傾向を強めていました。9月下旬に対円で史上最安値(1レアル=28円台)を付けて以降持ち直しつつあります。

■9月23日にブラジル中央銀行(以下、中銀)が4月以降中止していたスワップ取引での通貨安定化策を再開したことが、レアルの主な反転要因になりました。

【ポイント2】政府は財政再建姿勢を強化

財政を巡る不透明感は残る
■ルセフ大統領は、9月上旬に大手格付け会社S&Pがブラジル国債を非投資適格級に引き下げたことを受けて、来年度予算を修正し、財政収支の目標を引き上げました。さらに10月2日には内閣改造を行い、省庁数や閣僚給与の削減など歳出削減策も打ち出しました。

■一方、会計検査院は10月7日、昨年度の政府決算に不適切な処理があり、議会はこれを否認すべきと報告しました。財政に対する不透明感は一旦薄らぎかけましたが、再び強まる可能性が高まっています。

【今後の展開】中銀は利上げも辞さない姿勢、財政健全化がレアル安定化のカギ

■緊縮財政による景気への不安などから、議会では歳出削減に反対し、大統領の罷免を模索する動きが活発化しています。景気への不安は中国の景気が持ち直す場合に和らぐ可能性がありますが、今後もレアルの上値を抑えそうです。

■中銀は、財政再建が進まずレアル安が進む場合には、景気低迷下でも利上げを辞さない姿勢です。議会の反対や国民の不満などから難しい情勢ながら、ルセフ政権が財政再建を推進することは、今後のレアルの安定化のカギになると思われます。

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