財政再建の本格化でブラジルレアルは持ち直しへ【デイリー】
2015年9月15日
【ポイント1】レアルは13年ぶりの安値
財政再建の遅れを不安視
■ブラジルレアルは、9月に入り財政不安や格下げから下落傾向を強め、対円では一時1レアル=30円台と、2002年9月以来のレアル安水準をつけました。9月14日時点では同31.5円と、昨年末から▲30%の下落率になっています。
■政府財政に対する不安の背景は、景気低迷の中で財政再建が進まないことです。8月末に政府が議会に提出した予算案によると、2016年の財政収支(利払いを除く)は、3年連続の赤字とされました。これを受け、大手格付け会社S&Pはブラジル国債の格付けをBB+に引き下げ、非投資適格級としました。

【ポイント2】レアルは足元で持ち直し
来年度予算案見直しが好材料に
■14日、レアルは対円で+1.1%上昇しました。政府が予算案の見直しを発表し、歳出削減と増税策の拡充により財政収支目標を当初のGDP比0.5%の赤字から0.7%の黒字に引き上げたことが好感されました。
■抜本的な財政緊縮策がさらなる格下げ回避に必要との見方が広がっていましたが、予算案の見直し発表により、不安心理が和らぎました。

【今後の展開】財政再建がようやく本格化、政府と議会の協力がカギ
■予算案の見直しに対し、野党は一部の増税案に反対しながらも、審議には前向きに応じる姿勢を示しました。S&Pが投資適格級を外したことで、政府と議会の財政再建の取り組みが本格化しそうです。
■ムーディーズは、8月にBaa3(BBB-に相当)に引き下げて以降、見通しを「安定的」とし、投資適格級を維持しています。政府・議会が財政再建を進めれば、レアルのサポート要因になると思われます。