S&Pがブラジル国債を「投機的」に格下げ【デイリー】
2015年9月10日
【ポイント1】予想より早い格下げ
さらに格下げの可能性が残る
■大手格付け会社S&Pは9日、ブラジル国債の格付けを1段階引き下げBB+にすると発表しました。格付け見通しは引き続き「弱含み」としました。
■同社は7月に、財政緊縮の進展に、政治的、経済的リスクが高まったとして、格付けの見通しを「弱含み」に引き下げていました。市場ではいずれ格下げは避けられないとの見方が支配的でしたが、見通しの引き下げから2カ月以内の格下げは、予想より早いタイミングとなりました。

【ポイント2】3年連続の財政赤字を懸念
抜本的な財政再建策が不足
■今回の格下げは、2014年から3年連続の財政収支の赤字(利払いを除くプライマリー収支、以下同様)が確実になったことが主な背景と見られます。
■政府は8月31日に2016年予算案を議会に提出、同年の財政収支目標はGDP比▲0.5%としました。S&Pは、抜本的な財政再建策が不足しており、何らかの追加措置が無ければ目標達成も困難と見ています。

【今後の展開】財政再建の積極化が債券・為替市場安定のカギ
■ムーディーズは、ブラジル国債をBaa3(BBB-に相当)、見通しを「安定的」とし、投資適格級を維持しています。当面は、国債やレアルは不安定な動きから落ち着きどころを探る展開になりそうです。
■財政再建を進めるレビ財務相に対する与党内の支持は、低下している模様です。ルセフ大統領がこれまでと同様に同相を支え、財政再建の積極化を示すことが、市場の安定に必要と思われます。
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