ブラジル中銀が追加利上げ、利上げ打ち止めを示唆【デイリー】
2015年7月30日
【ポイント1】市場予想通り0.50%の利上げ
政策金利は約9年ぶりの高水準に
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は29日、市場の大方の予想通り政策金利を0.50%引き上げ、14.25%とすることを全会一致で決定しました。
■政策金利は昨年10月の会合から7会合連続で引き上げられ、約9年ぶりの高水準になりました。

【ポイント2】利上げ打ち止めを示唆
金融引き締め効果を見極め
■声明文では、「この金利水準を十分に長い期間維持することが、物価が中銀の目標に近づくために必要」と明言されました。これは、利上げの打ち止めを示唆したものと考えられます。
■7月前半の消費者物価指数は前年同月比+9.25%と、中銀の物価目標(前年比+4.5%、レンジは2016年末まで±2.0%、2017年以降±1.5%)を大幅に上回っています。ただし、これまでの利上げの効果などから、財の価格は比較的安定しており、市場の物価予想は低下しています(中銀調査の2016年末予想は、直近で前年比+5.4%と、4週間前の同+5.5%から低下)。
■景気の低迷が続くなか、市場の物価見通しの落ち着きも考慮し、中銀は今回で一旦利上げを打ち止めとし、これまでの金融引き締め策の効果を見極める姿勢に入ると見られます。

【今後の展開】物価指標の改善が続けば、景気やレアルの持ち直しへ
■ルセフ政権は、景気低迷による税収不足などから財政緊縮策を進めており、直近の世論調査では支持率が1桁に落ち込みました。また、政府は景気見通しの一段の下振れなどから22日に財政収支の目標を引き下げました。これを受けて大手格付け会社S&Pは28日、国債格付け(BBB-)の見通しを「弱含み」に引き下げています。
■経済や政治への不安などから、ブラジルレアルは下落傾向となっています。これまでの金融引き締めの効果で物価に改善が見られれば、景気やレアルの持ち直しにつながると思われます。当面は、週毎の中銀による物価見通し調査や、半月毎の物価指標が注目されます。