ホームマーケット日々のマーケットレポート最近の指標から見るブラジル経済(2015年7月)  物価抑制が好転のカギ【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

最近の指標から見るブラジル経済(2015年7月)  物価抑制が好転のカギ【デイリー】

2015年7月23日

【ポイント1】消費と生産の低迷が継続

物価高や利上げなどが影響
■5月の小売売上高は前年同月比▲4.5%と、前月(同▲3.3%)からマイナス幅が拡大しました。物価高により実質賃金のマイナスが1月以降続いており(4月は前年同月比▲4.8%)、消費低迷の主な要因となっています。

■5月の鉱工業生産指数は前年同月比▲8.8%で15カ月連続のマイナス、6月の輸出は同▲4.1%で11カ月連続のマイナスと、いずれも低迷が続いています。物価高や利上げによる内需の落ち込み、中国など海外景気の減速の影響が続いています。

【ポイント2】中銀は利上げを継続

公共料金引き上げの影響などを警戒
■7月前半の消費者物価指数は前年同月比+9.25%と上振れ、ブラジル中央銀行(以下、中銀)の目標(年+2.5%~+6.5%)上限を上回っています。電気料金の引き上げや干ばつによる食品の値上がりなどが物価高の主な要因です。

■中銀は、昨年10月から今年6月まで、政策金利を6会合連続で引き上げ13.75%としています。中銀は公共料金引き上げの影響から物価高が長期化することを警戒しており、市場では次回会合(7月28日~29日)でも0.50%の利上げを行うとの見方が優勢です。

【今後の展開】利上げで一部の物価は落ち着いており、経済・政治情勢の好転に期待

■景気低迷下でも、利上げと財政緊縮を続けざるを得ない状況です。最近の世論調査では、ルセフ政権への支持率が1桁に低下しています。22日には、政府が景気下振れによる税収減などを理由に、今年の財政収支目標(プライマリー収支)をGDP比+1.1%から同+0.15%に引き下げました。

■政府・中銀の政策に手詰まり感が強く、当面ブラジルレアルは上値の重い展開が続きそうです。ただし、これまでの利上げの効果などから一部の物価が落ち着いているほか、市場の2016年末の予想が低下しつつあります。物価の落ち着きから経済・政治情勢が好転する期待が高まれば、レアルの下支えになると期待されます。

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