最近の指標から見るブラジル経済(2015年4月) 物価抑制や財政再建への取り組みが進む【デイリー】
2015年4月17日
【ポイント1】生産、消費ともに低迷
利上げや外需の弱さが影響
■2月の鉱工業生産指数は前年同月比▲9.1%と、12カ月連続のマイナスになりました。また、同月の小売売上高は同▲3.1%とマイナスに転じました。物価高や利上げの影響などから企業景況感や消費者信頼感が足元で落ち込んでおり、生産、消費ともに低迷しています。
■3月の輸出は同▲3.7%と、8カ月連続のマイナスになりました。中国向け(全体の14.5%)が1月~3月合計で前年比▲35.4%と大きく落ち込むなど、外需は全般に弱い状況です。

【ポイント2】中銀は利上げを継続
電気料金等の値上げが物価を押し上げ
■3月の消費者物価指数は、前年同月比+8.13%となり、2014年12月の同+6.41%を直近の底として3カ月連続で上昇しました。財政再建のための増税、補助金の削減、公共料金の引き上げが物価を押し上げています。住宅向け電気料金は同+60.4%上昇しました。
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、昨年10月から3月まで4会合連続で政策金利を引き上げています。物価上昇率が目標(年+2.5%~+6.5%)の上限を大幅に上回っており、市場では中銀が次回会合(4月28日~29日)でも政策金利(現行12.75%)をさらに引き上げると見込まれています。

【今後の展開】財政再建に向け政府と議会が協力、企業・消費者心理の改善に期待
■国際通貨基金(IMF)は14日に発表した世界経済見通しで、ブラジルの2015年の経済成長率を▲1.0%と、1月の予想+0.3%から大幅に下方修正しました。干ばつ、金融・財政引き締め策、石油公社を巡る汚職問題を景気の低迷要因として指摘しています。
■ルセフ大統領は3月下旬、財政再建に向けあらゆる手段を講じると発言しました。これに対し議会の指導者は協力姿勢を示しています。政府と議会は汚職撲滅でも協力する方向です。これらは、中銀の物価抑制への取り組みとあわせて、企業や消費者の信頼感を改善させ、景気持ち直しにつながることが期待されます。