最近の指標から見るメキシコ経済(2015年2月) 来年に向け成長率は緩やかに加速【デイリー】
2015年2月24日
【ポイント1】成長ペースは加速
今後も、輸出、建設業、構造改革が後押し
■2014年10-12月期の実質GDP成長率は、前年同期比+2.6%と、前期の同+2.2%から加速しました。特に、米国の堅調な景気を背景に輸出が好調で、製造業が勢いを増しました。
■メキシコ銀行(中央銀行、以下中銀)は2月18日に四半期毎の「インフレ・レポート」を発表し、成長率予想を下方修正しながらも、来年に向けて成長率が緩やかに加速するとの見方を維持しました。主として、輸出の拡大、建設業の回復、構造改革の進展が成長率を押し上げる見込みです。
【ポイント2】物価は安定的に推移
年末には目標の+3%を下回る
■2015年1月の消費者物価指数は前年同月比+3.07%と前月の同+4.08%から低下し、中銀の物価目標(年+3%、変動幅±1%)近辺となりました。食品価格の落ち着きや、昨年の税率引き上げの影響が薄れたことなどが要因です。
■中銀は、メキシコペソ安による物価押し上げリスクは緩やかにとどまり、物価上昇率が年末に目標を若干下回ると予想しています。中銀は米国の利上げ時期を意識しながら、政策金利を過去最低水準(3%)で当面維持する見込みです。
【今後の展開】構造改革の進展は、中長期的な成長率の底上げに貢献する見込み
■政府は歳入の三分の一程度を石油関連収入に依存しており、市場では原油安による財政への影響が懸念されています。政府は、先物取引を通じて石油関連の収入減を抑えているほか、高速鉄道建設見送りなど財政緊縮案を発表し、財政への不安払しょくに努めています。ただし、公共投資による景気浮揚効果は、薄らぎそうです。
■油田開発への民間企業の参入ルールが発表されるなど、エネルギー改革は進んでいます。中銀は、政府の構造改革による景気への効果は、来年さらに強まると見ています。史上最低水準の政策金利や米国の堅調な景気が当面の景気を支え、構造改革の進展は中長期的な成長率の底上げに貢献する見込みです。



