ブラジルの金融政策(2014年12月) 政策金利の引き上げ幅を拡大【デイリー】
2014年12月4日
【ポイント1】2会合連続の利上げ
物価抑制にらみ利上げ幅を拡大
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は3日、政策金利を0.50%引き上げ、11.75%とすることを全会一致で決定したと発表しました。
■政策金利の引き上げは、10月の会合から2会合連続で、引き上げ幅は前回の0.25%から拡大しました。利上げ幅の拡大は、物価高を抑制する中銀の意向がより強く反映されたものと考えられます。

【ポイント2】追加利上げは慎重に検討
昨年来の利上げの効果を見極め
■消費者物価指数が中銀の物価目標(年+2.5%~+6.5%)の上限近辺で推移しており、レアル安の物価への影響も懸念されます。中銀は、次回会合(来年1月20日~21日)でも利上げを続けると見込まれます。
■声明文では、昨年来の利上げの効果などを見極めながら、追加利上げを慎重に検討する姿勢が示されました。物価の落ち着き次第では、利上げが小幅に抑えられる可能性があります。

【今後の展開】物価抑制や財政再建などを通じ、中長期的な経済成長率向上へ
■来年1月から2期目を迎えるルセフ政権の経済政策の中心を担うレビ次期財務相とトンビ二中銀総裁は、財政再建や構造的な物価高是正に積極的に取り組む姿勢です。
■財政再建により財政への信認が高まれば、国債利回りの低下につながります。構造的な物価高が抑制されれば、経済の成長性が高まることにもつながります。こうした方向に着実に政策転換が図られれば、市場は一定の評価を与えるものと思われます。
■政府は支出増につながる景気対策を当面とりにくく、中銀は物価抑制の利上げを続けざるを得ない状況です。
■財政への信任や中長期的な経済成長性向上への期待が高まるかが今後のレアルや株式市場のカギを握ると思われます。