最近の指標から見るブラジル経済(2014年11月) ルセフ政権2期目の経済政策に期待【デイリー】
2014年11月27日
【ポイント1】景気低迷が続く
内需外需ともに弱い
■9月の小売売上高は、前年同月比+0.5%と、3カ月ぶりのプラスとなりました。また、10月の失業率は4.7%と、2カ月連続で低下しました。消費は勢いを欠くものの、堅調な雇用情勢が今後も下支え要因になりそうです。
■9月の鉱工業生産指数は前年同月比▲2.1%と、3月以降7カ月連続のマイナスになりました。10月の輸出は、欧州(全体の約20%)や中国(同約11%)向けがともに同▲40%前後と大幅に減少したことから、全体として同▲19.7%となりました。内外需ともに弱く、景気は勢いを欠く状況です。

【ポイント2】物価高が続く見込み
中銀は4会合ぶりに利上げ
■11月前半の消費者物価指数は、前年同月比+6.42%と10月の同+6.59%を下回りました。物価上昇率は、電力料金の引き上げなどから中銀の目標(年+2.5%~+6.5%)の上限近辺で推移しています。
■中銀は10月29日、4月会合ぶりの利上げを発表しました(政策金利を0.25%引き上げ11.25%に)。中銀は電力料金の引き上げや通貨安などによる物価高の長期化を懸念しています。

【今後の展開】2期目を迎えるルセフ政権の経済政策に期待
■中銀が11月24日に発表した調査結果によると、物価上昇率の市場予想は2015年12月に前年同月比+6.45%と高止まりが続く見込みです。市場では、中銀は景気低迷に配慮しながらも、次回会合(12月2日~3日)以降も利上げを続けるとの見方が大勢です。こうしたなか、ルセフ政権の経済政策に注目が集まります。
■ルセフ大統領は、市場で評価の高い財務相の起用などを通じて経済政策を見直す姿勢です。新政策では、物価抑制や財政再建を優先すると見られます。そうした政策は短期的に景気に抑制的に働くものの、財政への信任や中長期的な景気見通しの改善につながり、レアルや株式市場の支援材料になる可能性があります。