【デイリー No.1,915】ブラジルの金融政策(7月) ~2会合連続で政策金利を据え置き~
2014年7月17日
<ポイント>
●ブラジル中央銀行(以下、中銀)は16日、政策金利を11.00%に据え置くことを発表しました。
●中銀は現行の金融政策の下で、物価上昇率が中長期的に物価目標レンジの中心(年+4.5%)に向かって低下すると見ており、政策金利を当面据え置く可能性が高いと思われます。
●高金利、海外景気の回復期待、中銀のレアル買いの為替介入プログラムなどは、レアルの支援材料になりそうです。ただし、難しい経済情勢もあり、レアルは方向感のない動きが当面続きそうです。
1.市場予想通り、政策金利を据え置き
今回の政策金利据え置きは、前回5月の会合に続き、全会一致での決定です。ブルームバーグの事前調査では57名のエコノミスト全員が政策金利の据え置きを見込んでおり、市場予想通りの決定となりました。

2.景気と物価の両にらみを継続
6月の消費者物価指数は前年同月比+6.52%と今年1月の同+5.59%を直近の底として5カ月連続で上昇し、中銀の物価目標レンジ(年+2.5%~+6.5%)の上限を超えました。一方、5月の鉱工業生産指数は同▲3.2%と、3カ月連続でマイナスになりました。中銀は、低迷する景気に配慮しつつ、物価上昇への警戒から今回も高めの政策金利を維持したと見られます。
中銀はまた、足元で物価を押し上げている公定価格の引き上げや賃金上昇の影響は、時間の経過とともに和らぐと見ています。中銀は現行の金融政策の下で、物価上昇率が中長期的に物価目標レンジの中心(年+4.5%)に向かって低下すると見ており、政策金利を当面据え置く可能性が高いと思われます。
3.今後の市場見通し
高い金利水準、米国など海外景気の回復期待、中銀のレアル買いの為替介入プログラム(今年12月末まで)などは、レアルの支援材料になりそうです。ただし、景気の低迷と物価の高止まりといった難しい経済情勢もあり、レアルは方向感のない動きが当面続きそうです。
ブラジルでは10月に大統領選挙が予定されており、景気や物価に関する経済指標に加え、同選挙を巡る世論調査もレアルに影響を及ぼしそうです。現政権への批判が大規模なデモやストライキに発展する場合には、注意が必要と思われます。一方、足元では再選を目指すルセフ大統領の支持率が低下する場合に、株式市場やレアルにとってプラスになる局面が多く見られます。政権交代による経済政策転換への期待は、レアルを支える一つの材料と思われます。
