【デイリー No.1,913】メキシコの金融政策(7月) ~ 政策金利を据え置き ~
2014年7月15日
<ポイント>
●メキシコ銀行(中央銀行、以下中銀)は11日、政策金利を過去最低の3.0%に据え置くことを決定しました。
●中銀は、消費者物価指数の上昇率が来年1月以降、インフレターゲット(年+3%、変動幅±1%)の中心値に近づくとの見方を示しました。内需が弱いこともあり、当面は政策金利を現行水準で維持すると見込まれます。
●景気見通しの改善や経済構造改革の進展期待などから、メキシコペソは底堅い推移となりそうです。
1.市場予想通りに政策金利を据え置き
ブルームバーグがまとめた事前予想では、23名のエコノミスト全員が政策金利(翌日物銀行間レート)の据え置きを予想していました。
中銀は、前回6月6日に昨年10月以来となる利下げ(3.5%→3.0%)を実施すると同時に、当面更なる利下げは推奨されないとの考えを示しており、今回はその考えに沿った決定となりました。

2.景気回復は緩慢、インフレは落ち着く見通し
中銀は、輸出が堅調なことなどから景気は回復方向にあり、4-6月期の実質GDP成長率が前期の前年同期比+1.8%を上回るとの見方を示しました。一方、国内支出に回復の兆しが見えず、景気のスラック(需給の緩み)は2、3カ月前に想定していたよりも大きいとの見方も示しました。
6月の消費者物価指数は前年同月比+3.75%と、前月の同+3.51%から上昇しました。ただし中銀は、内需が弱いことや、来年1月からガソリン価格が引き下げられる見込みなどにより、同指数が来年1月以降、中銀のインフレターゲット(年+3%、変動幅±1%)の中心値に近づくとの見方を示しました。
中銀が政策金利の水準を現行水準で据え置いた背景には、こうした緩慢な景気の動向と落ち着いたインフレ見通しなどがあります。
3.今後の見通し
中銀は引き続き政策金利を現行水準で維持し、景気や物価への効果を注視すると見られます。政府の財政支出の拡大、米国景気の回復などからメキシコの景気は今後回復すると見られ、ペソは底堅い展開となりそうです。
加えて、政府はエネルギー部門に外資の導入を認めるなど、積極的な投資を可能とする構造改革を進めています。この改革を実施に移すために必要な関連法案は、遅くとも8月中には成立するとの見込みであり、その場合には、海外から投資資金の流入増加期待が高まり、ペソを支える要因になると思われます。
