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【デイリー No.1,855】メキシコの金融政策(4月) ~ 政策金利を過去最低に据え置き ~

2014年4月28日

<ポイント>
●メキシコ銀行(中央銀行、以下中銀)は25日、政策金利を過去最低の3.50%に据え置くことを決定しました。
●中銀は、景気に改善は見られるものの不十分とし、過去最低の政策金利を維持し景気を支える方針です。
●米国の景気回復見通しやメキシコの経済構造改革進展への期待は引き続きペソを支える材料です。

1.過去最低の政策金利により景気を下支え

 政策金利(翌日物銀行間レート)は、昨年10月の会合で3.50%に引き下げられた後、4会合連続で据え置きとなりました。ブルームバーグがまとめた事前予想では、26名のエコノミスト全員が据え置きを予想していました。
 4月前半の消費者物価指数は、前年同月比+3.53%と、今年1月(同+4.48%)を直近のピークに低下し中銀の目標レンジ(+2%~+4%)に収まっています。中銀は、前回3月の会合で「インフレのリスクは改善した」としており、今回もこの判断に変更は無いとしました。過去最低の政策金利を維持した背景には、こうしたインフレの落ち着きに加え、景気の回復が依然として緩慢なことがあります。

2.景気回復のカギは、財政支出と米国の景気

 メキシコの景気は回復が後ずれしています。3月の自動車生産、同輸出がいずれも前年同月比2桁の増加となるなど一部に回復の兆しは見えるものの、2月の小売売上高が予想に反し前年比マイナスになるなど内需は勢いに欠ける状況です。中銀は、消費や投資に改善の兆しが見られるとしながらも、「景気のリスクは下振れの方が優勢」とし、景気への警戒を崩していません。
 今後のメキシコの景気回復には、昨年滞った財政支出による景気刺激策の執行と、輸出の約80%を占める米国の景気回復がカギになるとみられます。特に米国の景気回復は、メキシコの外需のみならず、米国におけるメキシコ人労働者からの本国への送金増加により、内需にもプラスとなる側面があります。

3.今後の見通し

 景気の回復が緩慢なため、中銀は緩和姿勢を一段と強めているとの見方もあります。ただし、政策金利はすでに過去最低水準であるうえ、物価の影響を除いた実質政策金利はゼロ近辺となっています。これ以上の利下げは将来的なインフレ期待を上昇させることにもつながるため、中銀は現行の政策金利を当面維持することで景気を支えるものとみられます。
 米国の景気は悪天候の影響を脱し、底堅さを取り戻しています。また、メキシコ現政権の財政支出による景気対策も動き出しているようです。メキシコの景気が持ち直すにつれ、通貨ペソは底堅い展開となる見通しです。また中長期的には、経済構造改革進展への期待は引き続きペソを支える材料です。なお、エネルギー改革関連法案は、4月30日の議会会期末にむけとりまとめられる見込みであり、この進展にも期待が集まります。

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