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【デイリー No.1,829】メキシコの金融政策(3月) ~ 物価上昇リスクの緩和を示唆 ~

2014年3月24日

<ポイント>
●メキシコ銀行(中央銀行、以下中銀)は21日、政策金利を過去最低の3.50%に据え置くことを決定しました。
●中銀は景気の下振れを警戒し、緩和的な金融政策を当面続け、景気を支える姿勢です。
●米国の景気回復見通しやメキシコの経済構造改革進展への期待は引き続きペソを支える材料です。

1.緩和的な金融政策を維持し、景気を下支え

 政策金利(翌日物銀行間レート)は、昨年10月の会合で3.50%に引き下げられた後、3会合連続で据え置きとなりました。ブルームバーグがまとめた事前予想では、26名のエコノミスト全員が据え置きを予想していました。
 中銀は、2月の消費者物価指数の上昇率(前年同月比+4.23%)が前月から低下したことなどを踏まえ、「インフレのリスクは改善した」としました。4-6月期にはインフレ・ターゲットの上限4%以下に低下するとの従来の見通しに変更はありませんでした。過去最低の政策金利を維持した背景には、こうした物価が落ち着く見通しに加え、景気の回復が依然として緩慢なことがあります。

2.景気回復の鍵は、財政支出と米国の景気

 メキシコの景気は回復が後ずれしています。2月の自動車輸出が前年同月比2桁の増加となるなど、一部に回復の兆しは見えるものの、消費者信頼感指数(2月は84.5)が昨年後半からの下落に歯止めがかかっていないなど、内需は勢いに欠ける状況です。中銀は、経済には「緩み」があり、「景気の下振れリスクは改善していない」としました。米国の量的金融緩和策の縮小や新興国の景気減速の影響も見据え、景気下振れへの警戒を崩していないことがうかがわれます。
 メキシコの景気回復には、昨年滞った財政支出による景気刺激策の執行と、輸出の約80%を占める米国の景気回復が鍵になるとみられます。特に米国の景気回復は、メキシコの外需の回復のみならず、米国におけるメキシコ人労働者からの本国への送金増加により、内需にもプラスとなる側面があります。

3.今後の見通し

 今回の声明で中銀が物価上昇リスクの緩和と景気下振れへの警戒維持を示したことから、市場では、中銀が緩和バイアスを強めたとの見方が強まり、当日の国債利回りは低下しました。ただし、政策金利はすでに過去最低水準であるうえ、物価の影響を除いた実質政策金利はゼロ近辺となっています。これ以上の利下げは将来的なインフレ期待を上昇させることにもつながるため、中銀は現状の政策金利を当面維持することで景気を支えるものとみられます。
 米国の景気は悪天候の影響が徐々に薄れ、底堅さを取り戻しつつあります。また、メキシコ現政権の財政支出による景気対策も動き出しているようです。メキシコの景気が持ち直すにつれ、通貨ペソは底堅い展開となる見通しです。また中長期的には、経済構造改革進展への期待は引き続きペソを支える材料です。

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