【デイリー No.1,809】ブラジルの金融政策(2月) ~利上げ幅を縮小~
2014年2月27日
<ポイント>
●ブラジル中央銀行(以下、中銀)は政策金利を0.25%引き上げ、10.75%とすることを決定しました。
●中銀は物価上昇圧力と景気の低迷の両方を警戒し、利上げ幅を前回までの0.50%から縮小しました。次回4月1日~2日の会合では、小幅の利上げを継続するかどうかについて慎重に検討すると見られます。
●景気懸念や高金利など強弱両方の材料が影響し、レアルは当面方向感のない展開となりそうです。
1.2013年4月以降8会合連続、合計3.50%の利上げ
中銀は前回1月の会合と同様に、全会一致で政策金利(翌日物金利誘導目標)の引き上げを決定しました。2013年4月に政策金利を史上最低水準の7.25%から0.25%引き上げて以降、利上げは8会合連続となり、利上げ幅は合計で3.50%となりました。
2.歳出削減策などを受け中銀は景気にも配慮する姿勢
前回会合の議事録によると、中銀はこれまでのレアル安や賃金の上昇などによる物価上昇圧力を警戒しており、今回の利上げ継続判断につながったと思われます。
一方、利上げ幅は、直近の6会合でいずれも0.50%とされていましたが、今回は0.25%に縮小されました。足元の経済状況を見ると、消費は堅調ながら、生産や輸出は低迷しています。加えて、政府は2月20日に今年度の歳出を440億レアル(名目GDPの0.8%に相当)削減する修正予算案を発表しました。財政面からの景気支援が期待しづらい状況です。中銀はこれらの状況から景気の減速が続くことを警戒し、利上げ幅を縮小したと見られます。
良好な雇用情勢などから今後も物価上昇圧力が懸念される一方、政府の歳出削減、中国など新興国の景気減速などから景気の低迷も引き続き懸念される状況です。中銀は、このような状況を考慮し、次回4月1日~2日の金融政策委員会において、小幅の利上げを続けるかどうかについて慎重に検討すると見られます。
3.今後の市場見通し
今年1月下旬、アルゼンチンペソが急落し、レアルを含む多くの新興国通が下落しました。ただし、海外と比べて高い金利水準、中銀によるレアル買いの為替介入、歳出削減策を受けた国債の格下げ懸念の後退などを要因として足元では持ち直しつつあります。
米国のQE3縮小などにより、新興国を巡る投資資金の動きは今後も不安定さが残ると見られます。ブラジル景気の先行き不透明感が強まっていることもあり、レアルへの下押し圧力は当面続きそうです。一方、金利水準は海外と比較して高い状態が続き、レアルの下支え要因になりそうです。加えて中銀は、レアル買いの為替介入プログラムを6月末まで続ける方針です。レアルに対して強弱両方の材料が影響すると見られることから、レアルは当面方向感のない展開となりそうです。