ホームマーケット日々のマーケットレポート【デイリー No.1,790】メキシコの金融政策(1月) ~ 政策金利を過去最低に据え置き ~/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【デイリー No.1,790】メキシコの金融政策(1月) ~ 政策金利を過去最低に据え置き ~

2014年2月3日

<ポイント>
●メキシコ銀行(中央銀行、以下中銀)は1月31日、政策金利を過去最低の3.50%に据え置くことを決定しました。
●中銀は、足元のインフレの加速を一時的と判断し、緩和的な金融政策を当面続け景気を支える姿勢です。
●米国の景気回復見通しやメキシコの経済構造改革進展への期待は引き続きペソを支える材料です。

1.過去最低の政策金利で景気を下支え

 中銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物銀行間レートを過去最低の3.50%に据え置くことを決定しました。政策金利は昨年10月の会合で3.50%に引き下げられた後、2会合連続で据え置きとなりました。10月の利下げ決定後の声明で利下げ打ち止めが示唆されており、これまでのところ中銀の見込み通りです。
 ブルームバーグがまとめた事前予想では、23名のエコノミスト全員が今回の据え置きを予想していました。
 中銀は、足元のインフレ加速を「一時的」とし、過去最低の政策金利を維持することで回復が緩慢な景気を下支えする姿勢です。

2.インフレは、加速後鎮静化する見通し

 メキシコの景気は、関係の深い米国の景気が底堅く推移しているにもかかわらず、回復が緩慢です。外需、消費、政府支出が持ち直す一方、生産、投資は低迷しています。中銀は、景気は徐々に回復しているものの雇用や経済全体には依然としてスラック(需給の緩み)があるとの認識を示しました。
 一方、インフレは足元で加速しています。1月上旬の消費者物価指数(隔週分)は前年同期比+4.63%と、中銀のインフレ・ターゲット(中心3%、変動幅±1%)の変動幅上限を上回りました。中銀は、これを新税制などによる一時的なものとし、「今年4-6月期には低下する」としています。2015年については3%をやや上回る水準に落ち着くとしました。政策金利維持の背景には、中期的にインフレが落ち着くとの見通しもあると思われます。

3.今後の見通し

 中銀は、このところ不安定化する新興国通貨についても言及し、通貨の変動が「インフレに影響する」懸念を示しました。加えて、足元のインフレの加速は、一時的ではあるものの景気が順調に回復する場合にはインフレ期待が上昇する要因になるとし、インフレのリスクは足元で悪化しているとの認識を示しました。中銀はインフレの動向に細心の注意を払いながら、低金利政策を当面続けることで景気を支えるものとみられます。
 新興国通貨が不安定化する場面では、メキシコペソも影響は免れないと思われます。ただし、米国景気の底堅さが続く見通しやメキシコの経済構造改革進展への期待は、引き続きペソを支える材料です。景気回復が進展するにつれペソは底堅い推移に再び向かうものと思われます。

関連マーケットレポート