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日本の企業業績と株式市場の見通し
地政学リスクと円高を受け業績下方修正を織り込む展開 【デイリー】

2017年4月14日

【ポイント1】2016年度は辛うじて増益を維持した模様

年度下期は大幅増益

■これから3月期決算企業の決算発表が本格化します。2016年度の実績と2017年度の見通しが注目されます。

■2016年度は前半と後半で大きく環境が変化しました。前半は、世界経済の不透明感が強まる中で、4月に発生した熊本地震の影響や、6月の英国の欧州連合(EU)離脱選択などを受け、総じて円高が進む展開でした。上期の企業業績(経常利益)は減益となり、日経平均株価は6月24日に1万5,000円を割り込み、1万4,952.02円と、年度安値を付けました。

■年度後半は、11月8日の米大統領選挙でトランプ氏が当選してから大きく流れが変化しました。米国の景気回復期待が強まる中、為替はドル高円安に転じ、中国の景気はデフレから脱却し、原油など資源価格も堅調となりました。外部環境が好転したことを受け、年度下期は大幅な増益となり、通期予想も増益に転換しました。QUICKによれば、2016年度の経常増益率はコンセンサスベースで前年度比+2.5%と、3期連続で過去最高益を更新する見通しです。

【ポイント2】2017年度は2桁増益

為替の前提次第で下方修正も

■2017年度は前年度比+15.6%と2桁の増益となる見通しです。非製造業の増益基調が続く中、製造業が大幅な増益へと転換すると見られます。ただ、足元では、地政学リスクの高まりやトランプ大統領の「ドルは高すぎる」などの発言を受けて、ドル安円高が進んでいます。今後は前提となる為替レートの変更が行われると見られ、業績予想が下方修正される可能性があります。

【今後の展開】業績の再吟味が進めば、次第に値を戻そう

<足元に広がる企業業績の下方修正リスク>

■2017年度の業績を見通す際の為替の前提は、市場では1ドル115円が多いと思われます。足元のドル円レートを勘案すると、市場関係者は110円程度に前提を変更すると思われます。一方、事業会社は108円程度を前提にしていると思われます(4月に発表された日銀短観によれば、大企業・製造業が事業計画の前提としている想定為替レートは1ドル108.43円)。保守的な事業会社は105円へと前提を修正する可能性もあります。

■また、企業業績予想の改善度合いをみるリビジョンインデックスも2011年以降につけたピークとほぼ同水準に達しており、今後は低下すると思われます。

■いずれにせよ、企業業績の見通しが下方修正されれば、市場は株価水準の修正を迫られることになります。



<株価を見直すための要件>

■地政学リスクを強く意識する状況がしばらく続く可能性があります。ただ、世界経済が変調する展開は想定しづらく、業績の下振れも限定的と思われます。懸念はドル円レートですが、仮に110円台であれば経常利益は+12%を維持し、105円だとしても+9%台の増益は見込めます。10-12月期以降にはトランプ大統領による景気刺激策も期待されており、日本企業の業績がさらに改善する可能性はあります。

■日本の株式市場は当面水準訂正が進むと思われますが、業績の再吟味が終了、為替が安定に向かえば、株式市場は次第に値を戻すと期待されます。

■なお、大型株と小型株の値動きを見ると、2016年末以降の緩やかなドル安円高局面で、小型株が総じて堅調に推移しました。為替が落ち着いた推移となれば、小型株に好影響を与えそうです。

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