日本の対内証券投資(2016年6月)
外国人の日本株売りペースダウン、株主還元姿勢に注目 【デイリー】
2016年7月8日
【ポイント1】6月の外国人株式売り越し

中長期債も売り越し
■財務省が7月8日発表した6月の対内証券投資によると、外国人投資家(以下、外国人)による日本への株式投資は4,342億円の売り越しでした。英国の欧州連合離脱選択や円高加速による日本企業の業績懸念などが響いたと見られます。
■一方、6月の日本への中長期債投資は9,973億円の売り越しでした。2014年の夏以降、外国人の中長期債への大幅な買い越しが続きましたが、6月は利益確定の売りが入ったようです。
【ポイント2】日本株から国債にシフト

日本株売りはペースダウン
■アベノミクス相場が始まった2012年11月以降の外国人の買いから売りを引いたネット金額の累積は、日本株が約17.3兆円なのに対し、中長期債は約25.9兆円です。昨年6月を境に、日本株が売り基調となる一方、日本国債の買い基調は続き、資金シフトが起こっていることがうかがえます。
■足元では日本株の売り越し額は1-3月に比べて少なくなっており、売り圧力の低下が見られます。
【今後の展開】外国人復活のカギは景気回復と株主還元姿勢か
■外国人が日本株売り越しに転じたのは、アベノミクスが期待通りの成果を上げていないことへの失望がありそうです。日本株は世界景気に敏感な製造業企業を数多く含んでいるため、世界経済の回復期待の揺らぎも、売りの要因になった模様です。
■また、このところ改善したとはいえ、欧米企業に比べて見劣りする日本企業の株主還元姿勢にも満足していない可能性があります。外国人が日本株に再び目を向けるのには、世界や日本の景気回復に加え、日本企業の株主還元姿勢もカギとなりそうです。
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