TPP交渉が大筋合意へ 自国の議会承認が課題、2次参加にも期待【デイリー】
2015年10月14日
【ポイント1】大筋合意に至る
見えてきた巨大経済圏への筋道
■2015年10月5日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉が大筋合意に至りました。難航していた医薬品のデータ保護期間を実質8年とすることで米国と豪州が折り合ったことが大きいとされています。
■中身を見ると、工業製品の関税撤廃のスピードの速さが目立ちました。一方、コメ等農産物では輸入枠の拡大や漸進的な関税率の引き下げが決定しました。日本の農業政策のあり方が問われそうです。

【ポイント2】発展の追い風として期待
国内に反対勢力も
■TPPは競争環境の枠組みのため、経済効果を測定することは難しいですが、巨大な経済圏の誕生はそこに集う国・地域の持続的発展の追い風になると期待されます。
■今回の大筋合意をメキシコやベトナムは歓迎していますが、米国では、米大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官が反対を表明しています。カナダは10月19日の総選挙を控え、与党が苦戦を強いられる可能性も指摘されています。

【今後の展開】自国内の議会承認が最大の課題、2次参加にも期待
■今後は、2年以内に議会承認を得るなど各国内の手続きを終了させる必要があり、発効にはまだ時間が必要です。
■一方、2次参加を表明しているタイ、フィリピン、台湾、韓国の参加の可能性にも期待が集まります。
■賃金や生産コストを比較すると、交渉国のベトナム以外でも中国を下回る国が多く、参加するメリットは大きいと思われます。韓国、台湾は非常に低い関税でアジア圏のサプライチェーンを再構築できれば貿易の促進が可能となり、参加を急ぐと期待されます。