最近の指標から見る日本経済(2015年8月) 7-9月期はプラス成長に復帰する見込み【デイリー】
2015年8月31日
【ポイント1】4-6月期はマイナス成長
生産は一進一退
■4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率▲1.6%と、消費税増税の影響が残る昨年7-9月期以来のマイナス成長となりました。賃金上昇が実感される前に食料品などの値上げが相次いだことで個人消費が低迷したことや、中国向けを中心に輸出が鈍化したことが主な要因です。
■7月の鉱工業生産指数は、前月比▲0.6%と2カ月ぶりに低下しました。特に電子部品・デバイス工業、輸送用機械工業などの低下が大きく、輸出の低迷が影響しました。製造工業生産予測調査では、8月は同+2.8%、9月は同▲1.7%となり、基調判断は、「総じてみれば、生産は一進一退で推移している」が据え置かれました。

【ポイント2】消費は回復基調
良好な雇用環境は続く
■7月の小売業販売額は、前年同月比+1.6%と天候に恵まれたこともあり、前月から伸びが加速しました。業種別では、原油価格下落の影響を受けて燃料小売業が減少した以外、すべての業種が増加しました。
■6月の現金給与総額は、前年同月比▲2.5%と大きくマイナスとなりましたが、これは賞与の支給時期のずれが大きく影響したためと見られます。7月の市場予想(ブルームバーグ集計)は同+2.0%となっており、賃金の緩やかな上昇傾向が続く見込みです。
■7月の失業率は3.3%、有効求人倍率は1.21倍と、良好な雇用環境が持続しています。

【今後の展開】輸出、消費の回復により7-9月期はプラス成長へ
■中国の景気は景気対策の余地から大きな下振れは回避されそうです。一方、米国の景気は順調な拡大が見込まれ、日本の輸出は先進国向けを中心に緩やかに回復しそうです。
■また、消費は賃金上昇を背景に堅調さが維持されると見られ、輸出、消費の回復を背景に7-9月期以降、国内経済はプラス成長に復帰することが期待されます。