日銀短観、足元の景況感に明るさが増す【デイリー】
2015年7月1日
【ポイント1】足元の景況感が上向き
円安効果や「小売」業の改善が背景
■日銀が1日に発表した6月調査分の「日銀短観」によると、「業況判断DI(最近)」は大企業・製造業が+15と前回3月調査と比べ3ポイント改善、大企業・非製造業が+23と同じく4ポイント改善しました。円安による企業収益の押し上げや非製造業で「小売」業が改善したことなどが背景です。
■「先行きDI」は、大企業・製造業が+16と今回調査の「最近DI」と比べ1ポイント改善する見通しです。一方、大企業・非製造業は+21と2ポイント悪化する見通しです。「通信」や「運輸・郵便」、「不動産」などの業種が悪化する見通しで、景況感の回復にやや一服感が見られます。

【ポイント2】企業収益の上振れ期待続く
設備投資額は上方修正
■大企業・製造業の経常利益は、2014年度実績が前年度比+11.5%、2015年度計画が同+0.8%とともに前回調査から上方修正されました。大企業・製造業の事業計画の前提となる米ドル円レートは115.62円と現状より円高が想定されており、現状の水準が続けばさらなる上振れが期待されます。
■2015年度の設備投資額(土地投資額を含み、ソフトウェア投資額は含まない)は、大企業・製造業が前年度比+18.7%と前回調査から+11.8%上方修正されました。企業収益の拡大が設備投資のマインドを支えていると見られます。

【今後の展開】追加の金融緩和への期待は一旦後退へ
■ギリシャ情勢や中国の景気減速懸念などにより、先行きの輸出にやや不透明感が出てきました。一方、消費は賃上げの進展などにより持ち直しの傾向が見られます。設備投資は、企業収益の堅調さが支える展開が続きそうです。
■日銀は、今回の日銀短観の結果を受けて、景気判断に関して自信を強めたと思われます。追加の金融緩和への期待については、一旦後退すると見られます。