最近の指標から見る日本経済(2015年6月) 内需の拡大基調が強まる【デイリー】
2015年6月9日
【ポイント1】1-3月期GDP成長率は上方修正
企業の設備投資が上振れ
■2015年1-3月期実質GDP成長率の2次速報値は、前期比年率+3.9%と1次速報値の同+2.4%から上方修正されました。企業の設備投資が上方修正されたことが主な要因です。1-3月期分の法人企業統計を見ると、設備投資は輸送用機械、電気機械などの輸出関連業種や卸売業・小売業、サービス業などの幅広い業種で増加しました。
■1-3月期実質GDP成長率の需要項目別の寄与度を見ると、内需が4.6%のプラス寄与となりました。在庫品増加が2.2%、設備投資が1.5%、個人消費が0.9%のプラス寄与となり、在庫品増加と設備投資の寄与度が拡大しました。

【ポイント2】実質賃金は2年ぶりにプラス
消費マインドは上昇へ
■4月の毎月勤労統計によると、物価の影響を除いた実質賃金は、前年同月比+0.1%と2年ぶりにプラスとなりました。消費税増税による物価上昇が一巡したことに加え、大企業を中心に賃上げの動きが広がっていることが背景です。
■4月の小売業販売額は、同+5.0%と4カ月ぶりにプラスとなりました。昨年4月の消費税増税後の買い控えの影響もあると見られますが、燃料小売業を除くすべての業種が増加しており、消費マインドが上向きつつあることがうかがわれます。

【今後の展開】企業収益の拡大が消費、設備投資拡大に波及する好循環へ
■5月18日までに発表を終えた上場企業の経常利益は、2015年3月期通期実績が前年度比+6%、2016年3月期通期計画が同+9%と伸びが加速し、最高益の更新が続く見込みです。企業が前提とする2016年3月期の米ドル円レートは115円程度で、足元の為替水準が継続すれば、収益の上振れ要因です。
■企業収益の拡大を背景に、さらなる賃上げや企業の設備投資への意欲が高まることが期待されます。消費税増税後にもたつきが見られた消費は回復基調が強まりつつあり、今後は内需の拡大がさらなる景気や企業収益の拡大に寄与する展開が期待されます。