毎月勤労統計調査(2015年4月) 実質賃金が2年ぶりにプラス【デイリー】
2015年6月2日
【ポイント1】予想以上に賃金が上昇
今年の賃上げの反映はこれから
■厚生労働省は2日、4月分の毎月勤労統計調査を発表しました。物価の影響を除いた実質賃金は、前年同月比+0.1%と2013年4月以来2年ぶりにプラスとなりました。消費税増税による物価上昇が一巡したことに加え、大企業を中心に賃上げの動きが広がっていることが背景です。
■現金給与総額は、同+0.9%の274,577円と市場予想(ブルームバーグ集計)の同+0.3%を上回りました。残業代等にあたる所定外給与は同▲2.3%と減少しましたが、基本給等にあたる所定内給与が同+0.6%、特別に支払われた給与が同+14.9%と増加しました。今年の春闘妥結後の賃上げの多くは6月ごろに反映されると見られ、現金給与総額の増加傾向は続くと見られます。

【ポイント2】物価上昇率は鈍化
雇用の人手不足感が強まる
■4月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、消費税増税の影響が一巡したことやガソリン価格の下落などから前年同月比+0.3%と3月の同+2.2%から伸びが低下しました。
■4月の完全失業率(季節調整値)は3.3%と3カ月連続で低下し、有効求人倍率(同)は1.17倍と前月比+0.02ポイント上昇するなど、雇用環境の改善は進んでいます。企業の求人が増加し、離職者が減少するなど、人手不足感が強まっています。

【今後の展開】実質賃金上昇により消費の回復基調が強まる
■円安や内需拡大に伴う企業収益の増加で、企業の設備投資が国内に回帰する動きも見られ、雇用創出へとつながることが期待されます。雇用環境の改善が続くことで、さらなる賃金上昇が期待されます。
■消費税増税の影響が一巡し、物価上昇率に落ち着きが見られます。今後は実質賃金の上昇傾向の定着が見込まれ、消費の回復基調が強まることが期待されます。