日銀政策と株式市場の動向 金融政策は現状維持、株価は米国景気の下振れを嫌気【デイリー】
2015年4月30日
【ポイント1】金融政策は現状維持
物価目標達成の時期を先送り
■日銀は、30日に金融政策決定会合を開催し、量的・質的金融緩和の維持を決定しました。
■同日に発表された「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)では、「物価安定の目標」である2%に達する時期を、従来の「2015年度を中心とする時期」から「2016年度前半頃」へ先送りされました。経済見通し、物価見通しについては若干ながら下方修正されました。
■また、今回新たに2017年度の見通しが発表されました。2017年4月から消費税率が10%に引き上げられることで、経済成長率は鈍化するとの見方が示されました。

【ポイント2】物価上昇の基調判断を維持
追加緩和の必要性を否定
■黒田総裁は、「物価上昇の基調には変化はない」という見解を維持し、「現時点で追加緩和の必要性はない」という見方を示しました。達成時期を後ずれさせた要因として、消費に一部回復の遅れが見られることをあげました。
■展望レポートでは、GDPと物価の見通しを下方修正したものの、物価の基調判断を維持することを理由に、現行の金融政策を当面維持する方針です。

【今後の展開】株価は企業収益拡大に沿った展開へ
■30日の日経平均株価は、前営業日比▲538.94円安の19,520.01円と大幅に下落しました。前日に発表された米国の1-3月期GDP成長率が前期比年率+0.2%と伸びが鈍化し、米国景気の下振れ懸念が強まったことなどが背景です。また、日銀が金融政政策の現状維持を発表したことに一部で失望感も出たようです。
■米国の1-3月期の減速は、厳冬などの一時的な要因が影響していると見られ、4-6月期は回復に向かうと見られます。
■円安や原油安などを背景に日本企業の収益は過去最高が続くと見られます。市場が落ち着くにつれ、株価は、企業収益の拡大に沿った展開が期待されます。