最近の指標から見る日本経済(2015年3月) 生産の持ち直し基調は変わらず【デイリー】
2015年3月31日
【ポイント1】2月の生産は反動減の側面も
欧米向け輸出は好調を維持
■2月の鉱工業生産指数は前月比▲3.4%と3カ月ぶりにマイナスとなりました。はん用・生産用・業務用機械や電子部品・デバイス工業など15業種中12業種がマイナスとなりました。1月の高い伸びに対する反動減の側面もあり、製造工業生産予測調査では3月が同▲2.0%、4月が同+3.6%と持ち直す見通しとなっています。3カ月移動平均で見ると持ち直し基調は変わらないと判断されます。
■2月の輸出総額は、前月比▲7.0%と9カ月ぶりのマイナスとなりました。前年同月比では、米国向けは6カ月連続、欧州向けは3カ月連続の増加と好調でしたが、中国向けが同▲17.3%と大幅に減少しました。中国の減少は主に春節の影響で一時的と見られます。

【ポイント2】自動車販売などは不振
実質賃金のマイナス幅は縮小傾向
■2月の小売業販売額は前年同月比▲1.8%となりました。衣料や食料などは堅調でしたが、原油安によるガソリン価格の低下や自動車販売の不振などが影響しました。消費動向にはこのところ弱さが見られます。
■1月の実質賃金は前年同月比▲1.5%と19カ月連続のマイナスとなりました。ただし、マイナス幅は2014年5月の同▲3.8%を底に縮小傾向となっています。

【今後の展開】賃上げによる消費マインドの好転に期待
■2014年度、2015年度の企業収益は、連続で過去最高を更新する見通しです。円高是正もあり輸出が好調なことに加え、原油安によるエネルギーコストの低下なども寄与する見通しです。
■企業収益拡大などを背景に、今年は昨年を上回る賃上げが期待されます。4月以降は消費税増税の影響が一巡することなどから、実質賃金の増加にも期待が持てます。今後は実質賃金増加による消費マインドの好転が期待され、緩やかな消費回復がけん引する景気拡大が見込まれます。