日本株式市場、足元の下落と今後の見通し 企業収益拡大に沿う底堅い展開へ【デイリー】
2015年3月27日
【ポイント1】一時370円を超す下げ
高値警戒から利益確定の売り
■27日の日経平均株価は、午前中は前日比プラスの場面がみられたものの、午後の取引で急落し、一時前日比370円を超す下げとなる場面もありました。引けにかけて下げを一部埋め、終値は、同185.49円安の19,285.63円でした。
■23日に約15年ぶりの高値に回復した後、上値が重い展開となり、この2日間は利益確定の売りが優勢となりました。米ドル円レートが足元で円高傾向にあることも株価の上値を抑えています。

【ポイント2】欧米株式市場の軟調さも影響
米国の景気・企業業績下振れを懸念
■米国の製造業関連の経済指標が足元で弱含んでいることなどから、米国の景気下振れ懸念がやや強まっています。これまでの米ドル高により米国の輸出企業の業績にも不安が広まっています。こうしたことから、NYダウは今月初めに過去最高値を更新した後、足元まで軟調な展開です。
■米国では、雇用が堅調に増加しており、消費の先行きが懸念される状況にはないと考えられます。米ドルは、主要国通貨に対して落ち着いた推移を取り戻しつつあり、米国の景気に対する不安は徐々に収束すると考えられます。

【今後の展開】企業収益の拡大に沿って株価は底堅い展開へ
■日本企業の収益力は、非金融企業の株主資本利益率(ROE)が徐々に上向くなど、改善傾向にあります。また、昨年後半からの円安や原油安による直接的な収益の押し上げ効果に加え、国内外の景気回復を背景に、今年の企業収益は過去最高を更新する見込みです。市場では、来年以降もさらに増益が続くと期待されています。
■地政学リスクや欧米企業の業績への不安などから市場は不安定な展開となることが想定されます。ただし、景気と企業収益の拡大、主要国での金融緩和、日本企業の収益力向上、それらを評価する投資家の動向に変化は見られません。市場が落ち着くにつれ、株価は企業収益の拡大に沿った展開となることが期待されます。