日本のGDP成長率(7-9月期)と市場動向 予想外のマイナス成長で消費税率引き上げ延期へ【デイリー】
2014年11月17日
【ポイント1】2四半期連続マイナス成長
内需の回復が緩慢
■7-9月期の実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率▲1.6%と2四半期連続のマイナスとなりました。個人消費は小幅なプラスに転じたものの、4月の消費税増税の影響からの回復が緩慢で、在庫調整の影響が大きく出た形です。
■そのほか、住宅投資、設備投資も前期比マイナスとなり、内需は全般に勢いを欠く内容です。市場では、前期比年率+2.2%(ブルームバーグ集計)と予想されていたため、予想外のマイナス成長となりました。

【ポイント2】消費税率引き上げ延期へ
増税延期を問う解散総選挙も濃厚
■これまで政府は、7-9月期のGDP成長率などを踏まえ、来年10月の消費税率再引き上げ決定を判断するとしていました。今回の速報値がマイナスになったことで、増税を延期することが濃厚となりました。増税時期は当初予定の1年半後の2017年4月とする報道が多いようです。
■また報道によると、増税延期について国民の信を問うため、年内に衆議院の解散総選挙が行われることが確実な情勢です。安倍首相は18日にも増税延期と衆議院解散について表明すると見られています。

【今後の展開】2014年度はマイナス成長へ、今後は増税延期、株高が内需を支える
■GDP成長率が2四半期連続でマイナスになったことで、2014年度の成長率は通年でもマイナスとなることが濃厚となりました。2014年度下期から来年度に向けては、増税延期による消費者マインドの改善、円安による企業業績の上振れ、株価上昇による資産効果などが景気回復を支えると思われます。
■増税先送りが濃厚になり補正予算等による短期的な景気対策と中期的な財政収支の改善をどう図るかが当面の注目点と見られます。
■GDP発表後の株式市場は、景気下振れや解散総選挙を巡る不透明感などから下落しました(日経平均株価の17日前場終値は前日比▲453.18円の17,037.65円)。米ドル円レートは一時1米ドル117円台に円安が進んだ後、115円台後半に反転しています(日本時間17日午前11時30分時点)。