日銀追加緩和後の市場動向 円安による企業業績の上方修正と景気対策の追加に期待【デイリー】
2014年11月4日
【ポイント1】世界的に株高・円安が加速
米ドルは約7年ぶりの114円台
■日銀が10月31日に予想外の追加金融緩和を発表した後、日本をはじめとして世界的に株価が急騰しました。日経平均株価の同日の上昇幅(前日比+755.56円)は、リーマン・ショックによる急落後の反発局面(2008年10月)以来の大きさです。NYダウは同日、史上最高値を更新しました。
■また、為替市場では円安が進みました。米ドル円レートは2007年12月以来約7年ぶりとなる1米ドル114円台となりました。米国では、29日に量的金融緩和(QE)の終了が決まったばかりであり、日米の金融政策の方向性の違いが改めて材料視された形です。

【ポイント2】GPIFの資産構成変更も材料
内外株式、外国債券が増加
■日本の公的年金資金の管理・運用を行うGPIFは日銀の決定と同日、基本となる資産構成の変更を正式に発表しました。変更では、内外株式と外国債券の割合が大きく増え、海外市場での株高・円安が加速する要因になりました。
■一方、国内債券の割合は60%から35%に低下しました。この低下幅は、6月末の資産総額約127兆円を基に計算すると約32兆円の減少に相当します。日銀の今回の国債購入額の増額30兆円は、GPIFによる売りを一部吸収し、長期金利の上昇を抑える効果があると考えられます。

【今後の展開】円安による企業業績の上方修正と補正予算による景気対策に期待
■日米の金融政策の方向性の違いが鮮明となり、円安圧力は残りそうです。円安は、急激な場合は消費や投資への影響が懸念されますが、輸出企業の業績改善などを通じて全体としてはプラスとの見方が優勢です。円安による企業業績拡大、賃金増加、消費拡大への好循環が期待されます。
■日本では、消費税増税後の消費の回復が弱く、物価の見通しが下振れています。今回の日銀の決定を受け、消費税率再引き上げの可能性が高まっていることから、補正予算などによる景気対策の追加が望まれます。日銀、GPIFに続く政府の対応が注目されます。