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【デイリー No.1,870】最近の指標から見る日本経済(2014年5月)

2014年5月21日

<ポイント>
●1-3月期のGDP成長率、3月の機械受注ともに市場予想を大幅に上回りました。
●輸出の増勢回復に加え輸入の伸びが大幅に鈍化し、4月の貿易収支の赤字幅は大幅に縮小しました。
●景気ウォッチャー調査では先行きに対する見通しが大幅に改善しました。
⇒4-6月期は駆け込み需要の反動減などでマイナス成長が見込まれますが、消費や輸出が緩やかに回復することで、7-9月期には回復に向かうと思われます。 

1.GDP、機械受注ともに市場予想を上回り増加

①GDP成長率
 2014年1-3月期の実質GDP成長率(1次速報値)は、前期比+1.5%、同年率+5.9%と、6四半期連続のプラス成長となりました。市場予想(ブルームバーグ調査、同+1.0%、同年率+4.2%)を大幅に上回りました。
 需要項目別に見ると、GDPの約6割を占める個人消費が前期比+2.1%と、消費税増税前の駆け込み需要により前期の同+0.4%から大きく加速しました。また、設備投資は同+4.9%と4四半期連続の増加となりました。一方、外需(輸出-輸入)は成長率を0.3%分押し下げましたが、前期と比較して輸出が好転したことから、前期のマイナス寄与(▲0.6%)から改善しました。
 4-6月期は駆け込み需要の反動減などでマイナス成長が見込まれますが、消費や輸出が緩やかに回復することで、7-9月期には回復に向かうと思われます。

②機械受注
 3月の中心指標であるコア受注(船舶・電力除く民需)は前月比+19.1%となり、市場予想(ブルームバーグ調査、中央値)の+5.8%を大きく上回りました。消費税増税を控え、一部に駆け込み需要が見られ、大型受注も加わった結果です。これにより1-3月期の受注実績は前期比+4.2%となり、見通しの同▲2.9%を上回って4期連続の受注増加となりました。
 機種別に受注状況を見ると、火水力原動機と航空機に大型受注が見られました。また、通信機、半導体製造装置など電子・通信機械が全般的に上振れしたほか、産業機械も産業用ロボットや化学機械が上振れしました。これらは駆け込み需要によるものと思われます。
 内閣府の見通しによると、4-6月期の機械受注(船舶・電力除く民需)は前期比+0.4%と5四半期連続の増加が続くと見込まれています。製造、非製造業ともに増加する見通しです。また、基調判断は「増加傾向にある」と前月の「増加傾向に足踏みが見られる」から上方修正されています。

2.貿易収支、先行き判断指数が改善

①貿易統計
 4月の貿易収支は、▲8,446億円(季節調整後)と22カ月連続の赤字となりましたが、3月の▲1兆6,268億円からは大きく改善しました。輸入の伸びが、原油及び粗油の減少や消費税増税前の駆け込み需要の反動減などから鈍化したことが要因です。
 輸出額(季節調整前、以下同様)は前年同月比+5.1%と、3月の同+1.8%から伸びが加速しました。品目別に見ると、一般機械が同+10.8%、電気機器が同+5.3%と伸びが加速しました。自動車は3月からの伸びは鈍化したものの、同+5.1%と13カ月連続で増加しています。一方、輸入額(同)は同+3.4%と3月の同+18.1%から大幅に鈍化しました。原油及び粗油が同▲11.2%と大幅に減少した影響が大きく、また全般的に消費税増税前の駆け込み需要の反動も影響したと見られます。
 今後は、海外景気は緩やかながら回復が続くと見られ輸出の増加が期待される一方、輸入は円安影響の一巡から伸びが鈍化すると見られ貿易収支の赤字幅拡大には歯止めがかかりつつあると思われます。

②景気ウォッチャー調査
 4月の「景気ウォッチャー調査」(調査期間は4月25日~30日)は、「現状判断指数」が前月比▲16.3ポイントの41.6ポイントと大幅に低下しました。一方、2~3カ月先の見通しを示す「先行き判断指数」は同+15.6ポイントの50.3ポイントと、5カ月ぶりに上昇し、中立水準の50ポイントを4カ月ぶりに上回りました。消費税増税の影響はある程度大きかったものの、その影響は短期に収束することが示唆されています。
 4月の「先行き判断指数」の内訳を見ると、百貨店が18.5ポイントから58.9ポイントとなるなど小売り関連が大幅に改善しています。また飲食関連も46.8ポイントと50ポイントの水準は下回っていますが、前月から大きく改善しています。

3.今後の見通し

 個人消費は、4月の全国百貨店売上高が前年同月比▲12%になるなど駆け込み需要の反動減が見られたものの、景気ウォッチャー調査の先行き判断指数など、先行きに対する景況感は回復が見込まれており、消費の落ち込みは一時的になると思われます。また、海外の景気は緩やかながら回復基調となっています。米国は雇用や個人消費に回復の兆しが見え、景気は緩やかな回復基調が続いていると見られます。中国も成長率はやや鈍化傾向にありますが、景気支援姿勢を徐々に強めていることなどから先進国と比較すると高い成長率を維持する見通しです。欧州は低インフレ懸念が高まるなどやや景気減速の兆しも出てきましたが、追加の金融緩和を実施するとの観測が大勢となっており、底堅く推移すると思われます。
 景気は、4-6月期は駆け込み需要の反動減で減速が見込まれますが、消費や輸出が緩やかに回復することで7-9月期以降は徐々に持ち直し、回復に向かうと思われます。

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