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【デイリー No.1,839】日本の金融政策(4月) ~異次元緩和策を据え置き~

2014年4月8日

<ポイント>
・日銀は昨年4月からの異次元緩和政策を維持することを決定しました。
・3月末のマネタリーベース残高は220兆円と日銀の想定通り順調に拡大しています。
・足元で物価は上振れする可能性が出てきたため、追加緩和策の可能性はやや後退したと思われます。

1.昨年4月からの異次元緩和策を維持

 日銀は4月7日、8日の金融政策決定会合で昨年4月から続けている「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)の維持を全員一致で決定しました。景気判断については「消費税率引き上げの影響による振れを伴いつつも、基調的には穏やかな回復を続けている」としました。市場では一部で追加緩和策に対する期待もありましたが、若干ながら失望を買った形です。

2.マネタリーベースは順調に拡大

 日銀は昨年1月にデフレ脱却に向けて2年程度をめどに2%の物価安定の目標を掲げました。その施策としてマネタリーベースを2倍に、ETFやJ-REITの保有高を2倍にする異次元緩和が進められています。日銀が2日に発表した3月末のマネタリーベース(市中の現金と金融機関の手元資金を示す日銀当座預金残高の合計)の残高は220兆円と過去最高を更新し、目標としている2014年末の残高270兆円に向けて順調に増加しています。これに伴い、消費者物価指数(生鮮食品を除く、以下コアCPI)は2013年6月以降プラス基調が続いています。

3.今後の見通し

 異次元緩和からちょうど1年が経過し、日銀が目標とするマネタリーベースは順調に増加し、コアCPIも上昇してきています。日銀が今年1月に公表した展望レポートの中間評価では、2014年度のコアCPIは+1.3%(消費税増税の影響を除く)と見通されており、2月のコアCPIはこれと一致したものとなっています。またマネタリーベースも日銀の想定に沿った形で順調に増加しています。4月に消費税が引き上げられましたが、コアCPIは予想以上に上昇する可能性も出てきました。東京大学が公表している東大日次物価指数(消費税を除く一部のスーパーのPOSデータを集計)をみると、3月は前年比でマイナスでしたが4月以降プラスに転じています。同指数は消費者物価全体の動きと一致する訳ではありませんが、長らく原料価格の上昇を転嫁できなく苦しんでいたメーカーが消費税増税を機に値上げが行われる可能性も高まってきています。これらのことから、足元では追加緩和期待はいったんやや後退しました。一方、消費税増税による買い控えが広がり、今後の消費自体の落ち込みも心配となっています。今月30日には新たに展望レポートが公表される予定であり、消費税増税前後の動向などを受け、日銀が物価や景気の見通しをどの程度変更するのかに注目が集まります。

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