鉄鉱石・石炭の価格と豪ドルの動向
安定しつつあり、豪ドルの下支えとなろう 【デイリー】
2017年7月12日
【ポイント1】鉄鉱石、石炭とも下げ止まり
鉄鉱石は上昇に向かいつつある
■鉄鋼の主原料となる鉄鉱石の価格は、17年6月上旬に1トン当たり55ドルを割り込みましたが、これを当面のボトムに持ち直してきました。足元では同60ドル台前半で推移しています。
■石炭の価格は、鉄鋼用原材料としてのコークス製造などに利用される原料炭で見て、短期的な上昇、下落を繰り返していますが、直近では下げ止まり、1トン当たり150ドル台で推移しています。

【ポイント2】 鉄鉱石、石炭とも価格安定へ

需給改善で鋼材価格が上昇
■鉄鉱石については、価格が中国の鉱山の損益分岐点と推定される1トン当たり70ドル前後の水準を下回ってきたことから、今後、減産に向かう見込みです。
■中国で社会資本整備のための公共投資が拡大し、鋼材需要が増大しています。こうした需要の拡大に加え、供給の抑制により需給が引き締まり、鋼材
価格が上昇しています。これは鉄鉱石、原料炭価格の双方にとって追い風となります。
【今後の展開】鉄鉱石が豪ドルの下支えになろう
■豪ドルの対円相場は、鉄鉱石や石炭等の資源価格の持ち直しや、日豪金利差の拡大などを受け、今年4月中旬を当面の底に戻り歩調にあります。
■今後についても、①資源価格の持ち直し、②それによる輸出の拡大と、貿易収支の改善(黒字転換)、③豪州準備銀行(RBA)と日銀の金融政策の方向性の違い(RBAは中立姿勢維持の見通し、日銀は緩和姿勢継続)等から見て、豪ドルの対円相場は堅調に推移すると予想されます。