金価格の動向
Brexit(英国のEU離脱)選択後も底堅い推移 【デイリー】
2016年7月14日
【ポイント1】Brexitで金価格は一段高

安全資産として金が選好される
■金価格は11、12年のピークの後、下落基調で推移してきましたが、今年に入り上昇に転じています。7月13日の現物の価格は、年初来で約26.5%の上昇となっています。
■米国の利上げ期待の後退を受けて、ドル安が進行したことと、英国のEU(欧州連合)からの離脱選択により金融市場が不安定となったため、金の安全資産としての見直し機運が高まったためと思われます。英国の国民投票後の24日には、1日で約4.7%の上昇となりました。
【ポイント2】円ベースの金価格は横ばい

ドルベースの上昇を円高が相殺
■ただし、円ベースの金価格は、概ねボックス圏での推移となっており、年初からの上昇率は約10%にとどまっています。ドルベースでの金価格の上昇を、円高の進行が相殺しているためです。これは、外国為替市場で、円が金と同様に安全資産として選好されているためです。
【今後の展開】米国の金融政策が当面の金価格のカギ
■英国のEU離脱選択直後の金融市場の混乱は、比較的短期間で収束しましたが、金価格は依然底堅く推移しています。今後の英国やEUに対する懸念が完全には払しょくできないうえ、世界的な低金利の環境下、ETFによる金への投資需要が増加していることが背景にあると思われます。また、金の新規鉱山開発が乏しく、価格上昇にもかかわらず生産量が増えていないという需給面のひっ迫も一因と考えられます。
■今後の金価格は、米国の長期金利や米ドルの動き、すなわち米国の金融政策や地政学的リスクなどの影響を受けると思われます。金価格の動向は、金融市場に対する投資家の心理状態を推し量る参考になります。いわば、「市場心理のバロメーター」と考えられ、金価格の動向が注目されます。