金価格の動向 安全資産として見直し機運が強まる 【デイリー】
2016年6月23日
【ポイント1】年初から金価格は上昇

安全資産として金が選好される
■金価格は11、12年のピークの後、下落基調で推移してきましたが、今年に入り上昇に転じています。6月22日の価格は、年初来で19.3%の上昇となっています。その要因は、米国利上げ期待の後退を受けて、ドル安が進行したことと、年初に発生した金融市場の不安定さから、金の安全資産としての見直し機運が高まったためと思われます。
■また、直近ではBrexit(英国のEUからの離脱)に対する懸念が高まったことも、金価格上昇の一因となっています。
【ポイント2】円ベースの金価格は横ばい

ドルベースの上昇を円高が相殺
■ただし、円ベースの金価格は右のグラフで見るように、今年に入ってからは、ボックス圏での推移となっており、年初からの上昇率は4%弱にとどまっています。ドルベースでの金価格の上昇を、円高の進行が相殺しているためです。これは、外国為替市場で、円が金と同様に安全資産として選好されているためです。
【今後の展開】金価格は市場心理のバロメーター
■英国のEU離脱か残留かを決める国民投票が23日に行われます。金価格は、離脱となれば今後の金融市場の混乱などを見越して上昇、残留となればリスク回避が修正され一時的に調整、といった可能性があります。ただ、残留が選択された場合も、離脱派の主張に一定の配慮が必要であり、英国やEUに対する懸念は残ると思われます。金融市場への不透明感を完全に解消することは難しく、引き続き安全資産としての金が注目されると思われます。
■英国の国民投票後の金相場では、米国の長期金利や米ドルの動き、すなわち米国の金融政策や地政学的リスクなど、今後の金融市場に影響を及ぼす事象に焦点があたると思われます。不透明感が強まれば、金価格が堅調に推移する可能性が高まると考えられます。金価格の動向は、金融市場に対する投資家の心理状態を推し量る参考になります。いわば、「市場心理のバロメーター」と考えられ、金価格の動向が注目されます。