ロシア中銀、大幅利下げを実施【デイリー】
2015年5月1日
【ポイント1】政策金利を大幅引き下げ
2カ月連続の利下げで12.5%に
■ロシア中央銀行(以下中銀)は4月30日、市場の予想を上回る大幅な利下げを決定しました。5月5日から適用されます。中銀は政策金利である1週間物入札金利を1.5%引き下げ、12.5%とすることを決定しました。利下げは今年に入り3度目、2カ月連続です。ブルームバーグの集計によると、エコノミスト40名のうち25名が1.0%、10名が1.5%、5名が2.0%の利下げを予想していました。

【ポイント2】物価は落ち着く見通し
労働市場の調整が進む
■中銀によれば、2015年2月~4月に、ルーブルが上昇し、消費需要が大幅に減退したことを受けて、消費者物価指数の上昇率が前月比で低下するなど、物価が安定する傾向にあると説明しました。4月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比+16.5%と3月より低下する見通しです。
■ただ、足元の景気は悪化しています。失業率が上昇する状況が続く中、賃金カットやパートタイムの活用によって労働市場の調整が進んでいます。インフレ率の上昇は実質賃金の落ち込みを加速させる要因になっており、こうした状況が個人消費を一段と冷え込まさせています。

【今後の展開】追加利下げの余地を残す
■中銀は、通貨防衛のために昨年12月に政策金利を引き上げましたが、今年に入り、ルーブルの安定を理由に景気刺激のために金融緩和へと転換しました。経済制裁が続く中、本格的な景気回復は見込みづらい環境に変化はありません。
■それでもルーブルと物価が落ち着けば、景気にとってはプラス要因です。声明文では「インフレリスクがさらに後退すれば政策金利を引き下げる用意がある」とし、景気対策としての追加利下げの余地を残しました。