ロシア株式市場、通貨の動向と今後の見通し ルーブルが安定するにつれ株価は底堅く推移【デイリー】
2015年4月23日
【ポイント1】ルーブル下落に歯止め
1月以降上昇基調
■ロシア銀行(中央銀行、以下中銀)は、欧米の経済制裁に伴う食品不足の影響等で高まるインフレの抑制とルーブルの防衛を目的に、2014年12月に利上げを実施しました。しかし、ルーブルの下落に歯止めをかけることができませんでした。
■2015年1月に入ると、ロシアは悪化する景気を刺激する方向に政策を転換しました。1月28日には総額で2.34兆ルーブル(約3.9兆円)の経済対策を発表し、1月30日には、中銀が予想外の利下げ(17.0%⇒15.0%)に踏み切りました。矢継ぎ早の政策発動で、ルーブルの過度な下落に歯止めがかかりました。3月13日には、さらに利下げ(15.0%⇒14.0%)を決定し、景気回復に向けた下支えを強化しました。
【ポイント2】戻り基調の株式市場
ECBの量的緩和もプラス要因
■株式市場は、2014年12月16日に2011年以降の最安値を付けた後、戻り基調にあります。ルーブルや原油価格の過度な下落に歯止めがかかってきたことやECBの量的金融緩和を背景とした流動性増加等の影響が背景と考えられます。
【今後の展開】底堅く推移する見通し
■欧米の経済制裁が続いていること等から景気の低迷が続く見通しです。中銀は、景気回復を優先して利下げを行いましたが、再び過度なルーブル安に繋がらない範囲で、金融緩和を進めると思われます。
■一方、株式市場を見ると、足元のPER(株価収益率)は6.7倍と割高感はありません。欧米との対立は依然続いており、予断を許しませんが、原油価格とルーブルの落ち着きを背景に、底堅く推移すると思われます。