IMFの世界経済見通し(2015年4月) 世界経済の緩やかな成長見通しを維持【デイリー】
2015年4月15日
【ポイント1】ばらつきを伴いながら緩やかに回復
先進国は加速、新興国は減速
■国際通貨基金(IMF)は14日、世界経済見通しを発表しました。世界全体の成長率は2015年が3.5%、2016年が3.8%とされ、ほぼ前回(1月公表)並みの成長見通しとされました。2014年の3.4%から緩やかに景気が上向く見通しが維持されました。
■IMFは、成長には国・地域ごとにばらつきがあると指摘し、2015年に先進国・地域が前年(1.8%)から加速する一方、世界の約70%を占める新興国・地域が前年(4.6%)から減速するとしました。

【ポイント2】日欧、インドを上方修正
米国、ブラジル、ロシアを下方修正
■先進国・地域の成長率見通しを国別に見ると、米国が米ドル高の輸出への影響などから前回から引き下げられた一方、金融緩和の影響などから日本とユーロ圏は引き上げられました。
■新興国・地域では、資源価格の下落、干ばつ、高金利の影響などが懸念されるブラジルと、原油安や地政学リスクが懸念されるロシアが引き下げられました。一方、原油安や一連の改革による投資拡大見込みなどから、インドは引き上げられました。中国は、据え置かれました。
【今後の展開】先進国・地域の緩和的な金融環境の変化、金融市場の混乱を警戒
■IMFは、世界経済のリスクが半年前に比べてバランスしていると指摘しました。ただし、原油価格の下落が主な景気の上振れ要因とする一方、地政学リスクが高まる可能性などから全体としては下振れリスクが勝っているとしました。金融市場の大幅な変動もリスク要因として警戒しています。
■IMFは、先進国・地域の極めて緩和的な金融環境が2015年に変化し始めると予想しています。投資資金の流れが大きく変化することなどにより、更なる米ドル高が新興国を中心に金融市場を混乱させる可能性に注意を要するとしています。